目指す世界観、自分らしさ、幸せとは
今回の「#ホンネDX」はゲストに新潟県津南町の桑原悠さんをお招きし、「目指す世界観、自分らしさ、幸せとは?」といったテーマで桑原町長の本音を伺いました。桑原さんは、町長としての想いや人柄を収録しております。
二児の母兼町長として地方創生を目指す
菅原:みなさんこんにちは。自治体DX白書共同編集委員長の菅原直敏です。
今日のゲストは新潟県の津南町、町長の桑原悠さまでございます。
桑原町長:よろしくお願いします!
菅原:いま、津南町にいらっしゃるということですか。
桑原町長:津南町役場の町長室から出演しています。
菅原:早速ですが、私から町長のご紹介をさせていただきたいと思います。今のキャリアをスタートされたのが25歳のとき、町議会議員になられたんですね。25歳ということは、被選挙権を取ってからすぐということで、たぶん日本で一番若い町議会議員としてキャリアスタートされました。
津南町とか新潟を立て直す100人でも素晴らしいですが、AERAが選ぶ「日本を立て直す100人」にまず選ばれまして。それから町議会議員として活動しながら、やはりそれでは日本を立て直すというにはまだ少し立場として足りないという部分もあったのでしょうか、なんと、31歳のときに町長に立候補されました。
地方でこの若さで町長に立候補というのは、なかなか大変なだと思いますが、なんと激戦を制し、女性として、そして全国最年少として町長になられたと。なので、現在もまだ30代という、見ての通りお若く、またお子さまも2人いらっしゃるということで、(2児の母でありながら、かつ)町長になることができる女性はなかなかいないと思います。そういった意味では、日本はジェンダーギャップが先進国の中でも最下位というですが、(桑原町長が)通る道筋自体が「日本立て直している」(と言えるのではないでしょうか。)そんな桑原町長でございます。
桑原町長:大変盛って盛って、ご紹介いただいたのですが、津南町の町長を務めています今年で3年目になりました桑原悠と申します。よろしくお願いします。
私はプライベートでは2児の母、養豚農家の嫁なので、養豚は「越後もちぶた」という銘柄で作っています。全国のスーパーに出回っているので、見つけたらぜひ試してみてください。
津南町は養豚も盛んですが、農業の町でして。地形はまさに中山間地、段々状の地形なんです。9段あって、川が流れているというところなのですが、その段々状の地形の上に国営農地開発で整備した土地が広―く広がっています。北海道みたいな景観だとよく言われますが、そこに、米、野菜、花、養豚もそうですし、牛さんもいる色々な農産物を生産している町です。
米どころの新潟県ですが私たちの津南町だけ、唯一野菜の産出額の方が米よりも多いという構造をしているのが特徴です。それを強みにDXを活用した次世代の農業をいま、進め始めております。
地域の強みを掛け算、次世代DX農業
菅原:すごいですね。もうそこだけで生活できそうですね。
桑原町長:そうですね、海の魚以外はあるので。本当に自給自足できますし、実際にカロリーベース(での換算)ですが食料自給率は300%を超えているので、新潟県内1位、全国でも(自給自足率が)トップクラスの町です。それだけではありません。再生可能エネルギーでエネルギーを自給できる町でもあります。水力発電にしても、自分たちが必要な電力を自給することにとどまらず、それ以上の電力を起こし東京の首都圏にも送っているので、(津南町は)電力も自給できて食料も自給できる町と言えます。
菅原:津南町のイメージができました。ここで早速テーマですけれども、テーマ1は世界観についてお伺いしているのですが、桑原町長は25歳のときに町議会議員なり、町長になられ、この歳でこれだけのキャリアを進まれました。相当強い想いがなければ、やっぱりなれないと思います。なので、なにか町長の目指している世界観があれば、ぜひ教えてください。
桑原町長:私この町で生まれ育って、嫁いで、子どもを産みました。この町が、子ともたちが大人になったときに続いていけるように、よりよくなっていくように、という思いで町長になりました。津南町の先ほど申し上げたクリーンな電力生み出すだとか、食糧生産を生み出しているだとか、そういったサステナブルなところ、それから津南町にまだ残っている共同性。コモンズと言えばいいのかコミュニティと言えばいいのかわかりませんけれども、そういった地域の繋がり、サステナブルとその共同性を現代的な価値として通用するようにアレンジしたり、伝え方を変えたりしながら、津南町が将来にわたって評価されていくようにしたいなという。そんな郷土愛と母としての想いですね。
菅原:そういったものを町で実現していくとなったときに、例えばいまの課題はありますか。
SDGs視点で地域課題を価値に変える
桑原町長:そうですね。まず、雪が日本一降ります。ポテンシャルはすごくある町だと思いますが、とにかく豪雪地帯なんです。毎年冬になると3メートルぐらい雪が降ることが当たり前です。この雪の苦労が結構ありまして、道路除雪をしなければなりませんし、高齢社会の中で先ほど言ったような共同性の気持ちをみなさんで持ちながら、声をかけ合って雪掘りもしあってという。暮らしていくときの容易では無さがあるというような(部分が)ずっと課題ではあります。でも、課題と言っているばかりではなく、この雪をプラスに変えられないかなというのも長年取り組んでいます。(津南町には)雪室というものが4つあり、その雪室に採れた野菜を貯蔵しておくことで、風味が良くなったり、まろやかなったり、甘くなったり、食味がよくなる。このようなところをPRしたり、また(雪による貯蔵だと)エアコンをつけなくていいので、環境にいいよ、脱炭素目指してるよという部分で雪を財産としてプラスに変えようという気持ちも持っております。
雪というのがひとつ、私たちを取り巻くものかなぁと、ぜひそれをプラスに変えたいなぁと思い、脱炭素をふまえ雪室を活用し、環境に優しい野菜ですよ、米ですよ、お花ですよと、CO2をどれほど削減したかを見えるような形で売り出そうとしております。
菅原:確かに可視化されていると伝わりやすいですよね。
桑原町長:いま(CO2をどれほど削減したかなどの)算出方法とかが課題なので、その辺をいろいろな方にお知恵をいただきながらぜひ形にしたいなと思っているところです。
(これが)デジタルトランスフォーメーションかなぁ
菅原:データを活用し、しかも課題を価値にしてしまうという意味ではデジタルトランスフォーメーションですよね。
桑原町長:このようなポテンシャルがあるので、それを評価されるよう活かしていきたいなと思っています。
菅原:これだけ前向きに考えることができるというのも大切だと思います。特に高齢者の方には雪かきが大変な方も多いでしょうから、この課題をどのようにして解決するかというところと、あとは、あるものに対してどう使うのか(を工夫し)価値にしていく、この2通りのアプローチを聞いていてとてもユニークだなって思いました。
桑原町長:はい、そのようなことが課題ですね。私も教育委員会の学芸員から意見をもらって、歴史的な背景も教えてもらい町のPRに活かすようにしています。
【#ホンネのDX】農業や物流とデジタル技術|新潟県津南町長 桑原悠さん(2)はこちら。