【#ホンネのDX】やりたいことを選ぶための「手段」がデジタル|「ふくいテレワーク女子」代表 後藤美佳さん(3)

#ホンネのDX 3回連続でお届けする「ふくいテレワーク女子」代表、後藤美佳さんとの対談。1回目、2回目では、後藤さん自身がテレワークという働き方を選んだ経緯や、現在代表を務める「ふくいテレワーク女子」の取り組みについてお話しいただきました。

最終回では、地方都市の女性がテレワークで収入を得るまでにぶつかる壁や、それでもなお、働き方の選択肢が広がることのメリットについて語り合います。

テレワークで本当に生計が立てられるのか?

菅原:後藤さんが代表を務める「ふくいテレワーク女子」についてお話を伺っていますが、テレワークって、皆がいきなりできるわけではないですよね。技術的なスキルの問題と、実際お仕事が得られるのか?というところに疑問を感じている方が多いと思います。

福井県のような地方都市だと、もしかするとテレワークをすること自体を家族に説明しなければいけないのかなとも思うのですが、実際やってみてのお悩みや難しさはありますか?

後藤代表:どこのご家庭にも難しさはあると思います。

私自身は、普通の会社員からフルリモートの働き方にシフトする時、会社員の旦那さんに「本当にテレワークで生計が立てられるのか?」「儲かる保証はあるのか?」と言われました。旦那さんは「会社員」という位置付けに対する心理的安全性があるので、そう言ってきたのだと思うのですが。

私の中では、会社員だから100%安全か?という疑問がありましたから、必死で毎日、旦那さんにテレワークについてプレゼンをしている時期がありました。

菅原:それは後藤さんの旦那さんが、という話ではなく、日本中の通勤している男性の多くは、テレワークという働き方をイメージできないと思います。だから、やったことがないことに対して「それってどうなの?」と思うのはごく当然の話です。

ちなみに、今は旦那さんは理解してくれているのですか?

後藤代表:はい。毎日プレゼンを重ねて、2ヶ月ほどかけてゆっくり環境を作りました。

菅原:後藤さんのような方が一つのモデルとなって、しかも県から採択された「ふくいテレワーク女子プロジェクト」も引っ張っていることが全国に発信されると、その姿自体が説明材料になると思います。

「テレワークの何が大丈夫なの?」という疑問が出た際に、福井県敦賀市というところに後藤さんという方がいて、テレワーク女子としてしっかりやっているのだから、他の人もできるんですと。実例があると、一歩を踏み出せる人は多いと思います。

後藤代表:そう思って活動しています。

消極的な選択から能動的な選択へ

菅原:「テレワークで稼げるのか?」という質問は本質だと思います。

地方都市の多くは地場の仕事自体がそれほどなく、そこに住む人たちは「本当にそれがやりたい仕事なのか?」と問われると、実は消極的な選択で今の仕事を選んでいることも多いです。

それがテレワークという選択肢が増えることで、例えば「ふくいテレワーク女子」が取り組んでいるようなWebマーケティング、今まで地元にあまり浸透していなかったような仕事を福井にいながら取り組むことができます。それを自分で選ぶことができますし、仕事の内容次第では収入も増えるという世界が開けますよね。

後藤代表:そうだと思います。デザインやライティングなど、個々の能力が上がればそれに比例して収入も増えていくのではないかと。

自分のやりたいことを選ぶための「手段」がデジタル

菅原:私はクラウドネイティブ(クラウドの利点を徹底的に活用すること)の企業を経営しています。そこで日々感じるのは、働く人がどこに住んでいるのか?は正直あまり問題ではないということです。

今や、東京の企業も通勤をやめてテレワークにシフトしているところも多いですから、そもそも、東京の企業に勤めていたとしても、住む場所はどこでもいいということになります。それが福井です、沖縄です、もっと言えばアメリカです、でもいいわけです。

今後、後藤さんの取り組みに対して、周りの人の理解がどこまで追いついてくるか?がポイントですね。

後藤代表:常識は変えていきたいと思って活動しています。

選択肢は無限大だということに女性たちが気づいて、価値観として持つようになれば強いと思います。

菅原:これは女性だけではなく、色々な理由で生きづらさを感じて仕事ができない方は男性でもたくさんいます。ハンディキャップがある方などもそうです。

ぜひそんな方達の鏡になってほしいと思います。

後藤代表:私たちは「女性」にフォーカスしていますが、男性もハンディキャップがある方なども、皆が皆「選択肢がある」ということを認識してもらえるといいなと思います。

そして、自分のやりたいことや楽しいと思うことを選べるような社会になることが理想ですね。

菅原:そのための「手段としてデジタル技術がある」これに尽きると思います。

今日はいいお話を伺いました。ありがとうございました。

対談を終えて

地方都市の女性が、デジタル技術を活用して自身のキャリアの選択肢を広げていく。

後藤さんとの対談からは、昨今しきりに耳にする「女性活躍」というキーワードの解像度が上がる感覚を覚えました。

デジタルは手段であって、目的ではありません。その特性をうまく利用することで、選びたい未来を選び取れる可能性が広がります。

#ホンネのDX これからも、あらゆる地域・あらゆる人たちのホンネとトランスフォーメーションを紐解いていきます。

ふくいテレワーク女子
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