要求・要件を定義できる人材を育成
【質問】
当市職員が、ベンダーロックインの状態に慣れてしまって、新たな業務方式が苦手な傾向にあります。どのように職員を育成すべきか教えてください。
【答え】
国も指摘するベンダーロックインの弊害については、ここ数年で自治体職員の方々にも共有され、問題意識を持たれる方が増えたと感じています。では、なぜベンダーロックインが生じるのでしょうか?その理由として、情報の非対称性を悪用して、ベンダーが無用に高く複雑なシステムを導入することで、自治体がそこから抜け出せないようにすると言ったベンダー悪魂論が展開されることも少なくありません。
確かに、見積額の桁が一桁多かったり、必要以上の過剰仕様に誘導したりする等、企業倫理のあり方として疑問符がつくようなベンダーロックインがないわけではありません。しかし、私はその根本的な理由は自治体側にあると考えています。自らの要求や要件をしっかりと定義せず、ベンダーに丸投げし、ベンダー側も曖昧な仕様の中で、費用の上振れリスクも考慮し、無用に高い導入見積もりをし運用での資金回収をしようとします。
これらの構造問題を解決するためにすべきことは、自治体がまず自らの要求・要件を定義できるようになることだと考えます。したがって、まず育成すべき職員像は、要求・要件を定義し、ベンダーと対等にやり取りができる人材です。とはいえ、「ベンダーロックインに慣れてしまって」いる職員にいきなりそれを求めるのは難しいと思います。そこで、私がCDOを務める磐梯町では、CDO補佐官に政府CIO補佐官も務める要求・要件定義ができる専門人材を登用しています。そして、CDO補佐官に寄り添ってもらいながら、また補佐官や私のネットワークから様々な専門人材を講師としてお招きして勉強会を開催し、要求・要件定義をできる人材を育成しています。