飛騨市 電子地域通貨「さるぼぼコイン」を活用した、行政サービスの向上及び地元企業の支援|Digi田甲子園 実装部門(市)準優勝

自治体DX白書編集委員会は、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が主催した、令和4年度夏のDigi田甲子園で実装部門(市)準優勝を受賞した取り組みを飛騨市役所総合政策課 土田憲司さまにインタビューをさせていただきました!

デジ田メニューブック「電子地域通貨「さるぼぼコイン」を活用した、行政サービスの向上及び地元企業の支援」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0070.html

電子地域通貨「さるぼぼコイン」を活用した、行政サービスの向上及び地元企業の支援とは?

「さるぼぼコイン」を活用した、行政サービスの向上及び地元企業の支援について教えてください

飛騨市、高山市、白川村の地域限定で使える電子地域通貨「さるぼぼコイン」を活用し、行政サービスの向上及び消費喚起策を実施しています。窓口手数料や施設使用料等の決済や市税等のバーコード収納や、市民への災害情報のプッシュ配信なども行っています。また、新型コロナウイルスの感染拡大により打撃を受けた観光業や飲食店、タクシー事業者への消費を喚起するため、プレミアム付き電子地域通貨事業や様々なポイント還元販促キャンペーンを実施しました。

−導入のきっかけや背景を教えてください

地域金融機関「飛騨信用組合」が2017年12月から電子地域通貨「さるぼぼコイン」のサービスを開始しました。地域内経済の循環や地域の活性化を目的としたこのサービスに対し、飛騨市ではスタート段階から積極的に応援、活用していきました。

リリース後は、金融機関側が加盟事業者や利用者の確保などを推進していき、自治体側はまず、窓口から発行する住民票などの発行手数料を「さるぼぼコイン」で支払いできるようにしました。窓口に2次元コードが表示されたボードを設置し、スマートフォンで支払いできる仕組みを取り入れました。

 

金融機関と連携した事業者や利用者へのはたらきかけ

金融機関と連携してどのような取り組みを行っていったのか教えてください。

金融機関の努力もあり、少しずつ浸透し始めていたのですが、地元の事業者がなかなか増えないという状況がありました。そこで自治体としては、地域の中にある様々な困りごとに全国のみなさんからお助けをいただく参加型のプロジェクト「ヒダスケ!」の仕組みの中で、助けてもらったお礼を「さるぼぼコイン」でお渡しできないかと考えました。「さるぼぼコイン」は地域通貨なので、地元経済に還元できると考えて現金や物ではなく、「さるぼぼコイン」をお渡しする仕組みをスタートしました。これは現在も続いています。

また、新型コロナウイルスの感染拡大によって地域経済が沈んでいったのを受けて、プレミアム商品券を発行するにあたり、電子地域通貨にプレミアムポイント分をつけたプレミアム電子地域通貨ができないかと考え金融機関に相談し、実行することになりました。紙の商品券を発行するには、手間とお金、時間がかかります。本来は発行までに1か月くらいかかりますが、電子地域通貨を活用することで2週間ほどで準備が整いました。

自治体としては、金融機関とのやり取りや電子地域通貨発行のための証明書を発行するのみで、あとは金融機関でプログラムの設定を行い、金融機関に証明書を持参した住民のアプリの中にその場でポイント分を上乗せして付与してもらうということを行いました。その場ですぐにできるというスピード感によって利用者が増えていきました。また、非接触が求められる時でしたので、現金のやり取りがないということで事業者の方々もメリットを感じていただき加盟店が増えていきました。これにより他の施策にも活用できるのではないかということで連携が進んでいき、コロナ禍で落ち込んだ市民の消費活動を促し、市内の事業者に経済を循環させる取り組みを数多く行っていきました。

利用者や事業者へはどのように対応をされましたか?

高齢の方々はまずスマートフォン自体にドキドキしてしまうのですが、アプリの入れ方やチャージの仕方などは金融機関で、利用する時には事業者の方が使い方を丁寧に教えてくれるので「自分も電子通貨が使えた。」という自信に繋がり、口コミでどんどん広がっていきました。70歳代〜80歳代の方も利用されています。

事業者に対しての担当部署は、自治体にはありません。加盟店の開拓は、金融機関が市内の事業者に声をかけてくださいました。普段から取引がある金融機関が加盟店開拓を実施し、自治体としても様々な取り組みを行い知名度も上がってきていたので、当時はすごい勢いで事業者も利用者も増えていきました。地域に根付く組織である自治体と金融機関の連携が、この取り組みの成功に繋がっていると思います。

将来の展望やシステムの活用を教えてください

物価高騰に対して、金融機関と連携して何か施策が打てないか検討しています。自治体だけではできないことも金融機関と連携することにより、それぞれの良いところが出せたと思います。全国各地の小さな自治体でも活用できる事例だと思いますので、このような取り組みが広がっていけばいいなと思っています。

飛騨市では現在、高齢者の方々にも利用していただいていますが、もっと多くの方に利用していただき地域内の経済が循環していけばいいなと思っています。

飛騨市について

人口:22,276人(2023年7月時点)
面積:792.53 km²

飛騨市は、岐阜県の最北端に位置し、周囲は3,000メートルを越える飛騨山脈(北アルプス)などの山々に囲まれ、四季の移り変わりを肌で感じることができるとても自然に恵まれた地域です。東京大学素粒子研究施設「スーパーカミオカンデ」をはじめとした物理学研究施設やかおり風景100選に選ばれた棚田と板倉が残る農山村の原風景など個性あふれた地域資源や、ユネスコ無形文化遺産・国重要無形民俗文化財「古川祭」の起し太鼓、和ろうそくや飛騨春慶、山中和紙などの伝統芸能文化が残る街です。

飛騨市WEBサイト
https://www.city.hida.gifu.jp/