【#ホンネのDX】小さな田舎町を自分が住みやすい町にしていくために|内閣官房オープンデータ伝道師|山形巧哉さん(1)

#ホンネのDX 今回は内閣官房オープンデータ伝道師 山形巧哉さんとの対談です。

山形さんは北海道森町役場でICT 担当としてキャリアをスタートし、内閣官房IT総合戦略室オープンデータ伝道師、総務省地域情報化アドバイザーなど数々の役職でご活躍されています。
また、森町に集まるクリエーターたちが「緩く繋がる」コミュニティ「ハウモリ」を主宰、経済産業省 地方版 IoT 推進ラボである「モリラボ」を発足させています。

そんな山形さんに、公務員として森町役場に勤めた経緯と、自治体でのデジタル活用やクラウドの導入、イベント運営を通じて叶えたい未来についてホンネを伺いました。

妻が、親が、友が住む町が好き

菅原:皆さんこんにちは。ホンネのDX コーディネイターを務めさせていただきます自治体DX白書共同編集委員長の菅原直敏です。
今日のゲストは山形巧哉さんをお迎えしております。
山形さん、今日は北海道の森町のご自宅でいらっしゃいますか?

山形さん:はい。そうですね。

菅原:では今日は北海道と神奈川県を繋いでの対談となりますね。
いつもながら私の方から山形さんのご紹介をさせていただきます。自治体DX白書のホンネのDXシリーズ史上最も色々な肩書を持ってらっしゃる方なので、少々乱暴な紹介になってしまうかもしれないのですが。

最初に一番スタンダードな肩書として、北海道森町という町の職員をされていらっしゃいます。ただ今後近い将来辞職をされるということですので、そのあたりも後ほどお伺い出来たらと思います。
2点目が各種行政委員等ということで、経産省内閣官房、総務省内閣府、そして地元北海道ということで、多様な分野において必要とされてらっしゃいます。全部の肩書を言うと10分あっても足りないので省庁でまとめましたが、色々な分野の各種行政委員であったり構成員を務めていらっしゃいます。
そして3点目がオープンデータ伝道師ということで、地域情報化のアドバイザーであったり、地元森町でIoT推進ラボ「モリラボ」の理事もされています。先日拝見して面白かったのは山中デジタル※ だったのですが、地域で影響力があり伝道師というよりインフルエンサーという感じですね。全国的にも講演をなさったりということで本当に多彩な山形巧哉さんをお迎えしております。

※山中デジタル:北海道森町で町おこしの一環として始動した手作りの私設公民館のようなスペース

菅原:これだけ肩書をお持ちでらっしゃいますが、僕が対談でお話する肩書のある人というのは肩書を求めている人ではなく、結果的に肩書がついてきという人たちが多くて、山形さんはまさにその最たる例だと思うんです。色々なところから必要とされるから結局そこに肩書が乗って来る形で。
ただこれだけの活動を森町に限らずやられているということは、山形さん自身に思いや使命感があってのことだと思うのですが。

山形さん:こういう言い方が正解かどうかはわからないのですが、やはりなんとなく自分の住んでいる場所、自分住んでいる町が好きというのは大前提にあるのかなと思っています。
なぜ好きなのかというと、無尽蔵に自分の町が好きだとか生まれ故郷が好きだというよりは、ここの土地に自分の妻が住んでいて親が住んでいて友達が住んでいて、多分その空間が好きなんだという感じがするんです。
一応森町は駅弁のいかめしで有名な町とPRしたいなと思うのですが…でもやはり田舎町なので、他のそういう田舎町の例に漏れず何もない状況なのは確かだとは思います。それを自分の住みやすいようにしていくにはどうしたらいいんだろうという本当に自分勝手な、自分本位な考え方から気づいたら色々な活動をしていたという感じです。

菅原:なるほど。今、何もないと仰いましたが、いかめしを知らない人はいませんよ。

山形さん:ははは

決め手は、その人との出会い

菅原:今自分勝手な思いと仰いましたが、逆だなと思うんです。
地方の方だと出て行かれる方も結構いらっしゃるじゃないですか。それだけ地域に思いや愛着を持ってやってらっしゃるというのは、僕は逆に素晴らしいと思うのですが。

山形さん:最初から愛着があったというわけではないんです。元々僕自身、公務員になりたくてなったというタイプでは実はなくて。
地元の高校を卒業した時にたまたま今の妻と出会ったんです。それで「あ、きっと僕はこの人と結婚するんだな」という勘違いからスタートをして。その時に本当は他の職業に就きたくて、他の学校に行ってみたいという思いがあったのですが、この人と結婚するなら森町に残りたいと。
それを言ったのが高校3年生の夏頃でしたので、学校の先生から「もうそんな職業なんかないぞ」と言われて、じゃあ公務員に…という、そういう流れでなったんですよ。

菅原:今さりげなくロマンティックなお話されましたね。

山形さん:ははは

地方あるある、の果てに気づいたこと

菅原:自分が勝手にもうこの人と結婚するんだって決めて、その人を念頭に入れて地元の仕事を選んだということですよね。僕が高校3年生の時にはそんなこと思い浮かばなかったですよ、素敵ですね。

山形さん:でも本当に地方というのは就職先がないんです。
ある程度きちんとした就職先を探していた時に選択肢が本当に無くなってしまっていて。たまたま運よくというか縁があって公務員になれて、そこから、これも地方あるあるだと思うのですが公務員になった瞬間からなぜか町内会活動をさせられるんです。

菅原:消防団とか。

山形さん:そうですそうです。最初のうちは、こんな18、19歳の僕がなぜ土日削ってまでやらなければならないのかと、嫌で嫌で仕方なかったのですが、それとともに町内会活動で触れ合うおじいちゃん、おばあちゃんたちや、また自分の祖母から自分達の町についてこういう町だったんだよ、だとか、昔はこんなによかったんだけど今はこうなっちゃったよね、とか、そういう色々な思いを聞くことによって少しずつ心境に変化が出てきたというのが正確なところかもしれないです。

菅原:確かに、公の仕事に就くと結果的に地域の方々とのつきあいが出てきて、今まで自分が知らなかったことを良くも悪くも知ることになって他者に関心を持つ、というのはすごく分かります。
なるほど。そういう地方あるあるから、さらに山形さんの恋愛事情や、そういうところから出てきたのが今の姿だということなんですね。わかりました。ありがとうございます。

次回は森町で取り組んできたデジタル化の活動と役場を去るきっかけについて

山形巧哉さんとの対談は次回に続きます。
次回は、山形さんのデジタル化推進の取り組みやパブリッククラウドの導入などの活動について、具体的な内容や目指す姿を伺います。

内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kanbou_it.html

ハウモリ
https://howmori.org/

モリラボ
https://morilab.or.jp/