会津藩から学ぶ什の掟|福島県磐梯町 自治体DXのマインドセット

自治体DX白書.com 共同編集委員長である菅原直敏がCDOを務める福島県磐梯町。

磐梯町がある福島県会津地方は昔は会津藩と呼ばれており、藩の子供たちに聞かせていた行動規範が「什の掟」です。
それを磐梯町デジタル変革戦略室がアレンジしたものが「磐梯町DX戦略の什の掟」であり、意識の変革に寄与しています。

 

マインドセットの重要性

DX推進における最優先事項は、関係者のマインドセットの変革だと入門編記事でも紹介しています。
その中でも首長や幹部職員のマインドセットの変革は絶対必要条件と言っても過言ではありません。

その理由はシンプルです。DXは行政におけるあらゆる事象(予算、条例・規則、組織、人事、事業等)を変革し経営することであるため、首長をはじめとする組織内の決定権者が強い意志を持って取り組まないと、頓挫する可能性が極めて高いからです。

したがって、首長及び幹部職員がDXに前向きな状態になること、敢えて消極的な表現をすると、邪魔をしない状態になることは、DX推進の重要な前提条件となります。

 

磐梯町DX戦略の什の掟

DX推進を前向きに進めるために、磐梯町が定めた「磐梯町DX戦略の什の掟」を紹介します。

一、住民本位でなければなりませぬ

行政は、住民のためにあることを肝に命じて、常に行政事務や事業のUI(住民接点)、 UX(住民体験)の向上に努めるようにしましょう。
また、住民本位の次に顧客本位(町外の人々)、職員本位も意識し、みんなに魅力ある磐梯町にしましょう。 

一、誰一人取り残してはなりませぬ

民間企業のDXと違い、行政のDXは相手を取捨選択できません。
共生社会実現の視点から 、すべての住民や職員がDXの恩恵に与れるようにお互いを気遣っていきましょう。 

一、言葉や他者に踊らされてはなりませぬ

何が住民本位であるかを常に自分の頭で考え、同僚と対話し、行動するようにしましょう 。
本当にやるべきことがわかっていれば、次々と生まれる流行り言葉や、他者からの甘言に惑わされることはないはずです。
なお、流行り言葉は活用しましょう。その場合、注釈 を加えましょう。 

一、本当の価値を評価しなければなりませぬ

私たちがDXを通じて行うべきは町の将来像と共生社会の実現であり、住民本位の価値の提供です。
前例という「カタチ」に捉われず、「カチ」を評価し、共創しましょう。

 一、できない理由を並べてはなりませぬ

住民本位の価値があると信ずる道があるならば、できない理由ではなく、できる理由を考 えて、行動しましょう。
住民を役場や制度の都合に合わせるのではなく、私たちが変わり ましょう。 

一、行動し、挑戦しなければなりませぬ

どんなに重厚な計画書や戦略も行動と結果が伴わなければ意味がありません。
自治体のDXはまだ誰もが見ぬ道です。リスクを恐れず、挑戦しましょう。 

一、失敗を責めてはなりませぬ

行動や挑戦には時として失敗が伴います。挑戦した者を讃えましょう。
あわせて、失敗は共有して、反省して、次に活かしましょう。 

一、データ・事実と結果を軽視してはなりませぬ

主観ではなく、客観(データ・事実)に基づいた取り組みを進めましょう(証拠に基づく政策立案)。
そして、アウトプット(出力)だけでなく、どのようなアウトカム(成果)を目指しているのかをしっかりと認識しながら取り組みましょう。 

一、目的と手段を取り違えてはなりませぬ

常に今の行動が何のためにあるのかを考えましょう。
特に手段が目的化しないように、細心の注意を払いましょう。 

一、感謝し、他の模範とならねばなりませぬ

私たちの取り組みはすべて先人の取り組みの上に成り立っています。
このことに感謝し、 DXを通じて、私たちが新しいカチをカタチにして、磐梯町だけでなく、日本を変えまし ょう。 

 

ならぬことはならぬものです。

 

磐梯町デジタル変革戦略

磐梯町のデジタル変革戦略第1版の全文はこちらからご覧ください。

磐梯町デジタル変革戦略第1版
https://www.town.bandai.fukushima.jp/uploaded/attachment/3197.pdf

 

磐梯町DX戦略の什の掟は東京都・区市町村CIOフォーラムでも紹介されています。

磐梯町におけるデジタル変革 (行動規範・国内事例紹介)
https://note.com/tokyo_cio_forum/n/naee13efd8901

このように、考え方の指針を標語やコピーにして組織内に浸透させるのが、意識の変革には重要になります。

 

講演・研修を受付けております

自治体DX白書.comでは、自治体や企業向けの講演・研修を受付けております。
特に、本記事で取り上げたマインドセットの内容は、自治体全職員への研修実績もございます。ぜひお気軽にお問合せください。

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