RPA人材を磐梯町が育成「地元にいながら高収入が得られる仕組みづくり」前編

自治体DX白書.comでは、自治体や企業が実践している事例を紹介していきます。
福島県磐梯町と(株)MAIAが取り組んだ、RPA人材育成の取組みについて、磐梯町 佐藤淳一町長へのインタビューを前後編の2回に分けて紹介します。

磐梯町に住む町民が、地元にいながら高収入なおかつ、テクノロジーを生かして住みやすくというデジタル変革のプロジェクトです。
プロジェクトにより、生活収入のアップと生活レベルの向上の両方を目指す取り組みとは?佐藤町長の想いとは? 

福島県磐梯町について

福島県磐梯町は、人口約3400人(2020年3月時点)、町土の約70%は森林で占めており、スキーリゾートの町として知られています。

磐梯町「まちの概要

 

町にいながらにして収入を目指す人材の育成に

町では過疎化が進み、東京や仙台などの都市部に人材が流出してしまうという課題を抱えています。これまでのように仕事を得るために町から離れてしまうのではなく、この磐梯町にいながらにしてちゃんと収入を得られるスキルを身に着ける人材育成のプログラムに取り組むことにしたのです。

デジタルを生活インフラに取り入れるだけでなく、しっかりお仕事として稼げるように人材を育成するということにまで踏み込んだ独自の取り組みです。

 

人材育成のプログラム「RPA」とは?

地元にいながらにして収入を得られるスキルは、「RPA」と呼ばれるもので、エンジニアの一種です。

「RPA」とは、「Robotic Process Automation」の略。これまで人が行ってきた書類作成などの事務作業をロボットにより自動化することです。

そのための技術を学び、身に着けることで、これまで行ってきた事務作業が人間よりも速いスピードで、正確にできるようになるのです。

 

「住民のデジタルリテラシー、収入を上げていく」町長の想いとは?

なぜ今回、人材育成を進めることにしたのでしょうか?佐藤町長に想いをうかがってきました。

なぜRPA人材育成を?

―なぜ人材育成をすることにされたのですか?

「1つは住民のデジタルリテラシーを上げること、そしてもう1つは磐梯町に住んでいる人の収入を上げていくという2つの理由からです。

地方に行くと、働いた分の時給に対してお金をもらうという仕事しかなかなかありません。そうなってくると、どうしても収入が少ないですし、お子さんがいらっしゃって、なかなか働きに行けない、短時間のパートしかできないという方は数万円の収入しか得られないという厳しい現状もあります。

しかし、RPAのスキルを学ぶことによって、1時間当たりの収入ではなく、自分の能力に合わせて収入を得られるという仕組みが、ネットを通してリアルに企業さんにつながっていけるという状況になっていけると思っています。

このようにして、地元にいながら高収入が得られる仕組みができてくるということは、町にとってプラスになることかなと思っています

 

「地元にいながらにして収入を上げる」人材育成とは?

RPAスキルを身に付ければ、地元で仕事ができるのでしょうか?これまでは、収入を得るために町外を離れなければいけなかったのです。どうやって、地元を離れずして仕事ができるのでしょうか?

 それは、全国各地にさまざまなクライアント企業さんから、RPA開発を中心に多くの案件がMAIAを通して寄せられ、ほぼ完全リモートでお仕事ができるようになっているからです。町を離れることなく、全国の企業様のお仕事を請け負うことができるのです。

 合格者の声

今回、磐梯町からは3人の方が合格されました。

「今からでもやればできるんだ」

「RPAは考えていなかったのですが、やってみようかなと応募しました。最初は何もかもわからなかったのに、やりはじめたら楽しかったです。

私も仕事していて子どもが小さいので、子どもが寝た後にやるしかないのですが、やり始めると、楽しくて気が付いたら朝になってしまって「寝ないとやばい」と言う感じでした(笑)。

なかなか勉強する機会ってなかったので、今からでもやればできるんだなと思いました

 「案外面白くてスイスイできるようになり、楽しかったです」

「最初のデジタル支援員のところでつまずいて、全然わからないし早く終わらないとRPA始められないというところで、最初は訳が分からず焦りました。

それがOJTに入ってからは、案外面白くてスイスイできるようになり、それからは楽しかったです。最終的には試験勉強の直前にヒントをいただき、助かりました。ありがとうございました」

 「地区のお年寄りの方に少しでもパソコンを教えられるように」

「私はいまだにガラケーで、パソコンなんてわからない人間だったんです。本当に一からの勉強だったのですごく大変でした。

でも、地区のお年寄りの方に、少しでもパソコンを教えられるようにと思い、最後まで何とか頑張りました。少しでも地区のために還元して力を尽くしていけたらなと思っています」

 テクノロジーで人に優しい町を目指す

実はRPA人材育成プログラムは、磐梯町のデジタル変革の事業の一つであり、そこにはテクノロジーで町民に優しい町を目指す町長の熱い想いがあります。

後編では、磐梯町のDXの先にあるビジョンや、展望をご紹介します。

後編はこちら RPA人材を磐梯町が育成「地元にいながら高収入が得られる仕組みづくり」後編