【#ホンネのDX】今ある幸せに気づけるようなまちづくりを|福島県西会津町CDO 藤井靖史さん(3)

#ホンネのDX 3回連続でお届けする福島県西会津町CDO 藤井靖史さんとの対談。1回目、2回目では、自然を模倣した多様性豊かな社会や、西会津町CDO(最高デジタル責任者)としての取り組みについてお話しいただきました。

最終回では、今ここにある幸せや、相対的価値観としての幸せについて語り合います。

今が幸せだと言えることが幸せ

菅原:今、デジタルの話をしてきましたが、何をしたいかがあってもなくても僕はいいと思っているんです。人類共通の願いって、幸せでありたいという基本的なものですよね。無理して不幸になりたいという人はいないと思うんですよ。それぞれの幸せがあって、そういうものに対してインフラとしてデジタルがあればいいなと思うんですが、藤井先生にとって幸せって何ですか。

藤井CDO:そうですね。幸せなのは、今の状態です。家族がいて、自分で舵をとって自分たちのライフスタイルに合った形に古民家をリノベーションして住んで、畑で作物を育てて朝食べたりして、だんだん農業に関するノウハウがたまっていくんですよ。農家の方に比べたらおこがましい話ですけれど、季節によって何が生えて、成長するためには何が必要かといった知識やノウハウがたまることで、生きていくためのスキルが上がっていく。仕事も新たなチャレンジのフィールドをどんどん開拓できていて、根拠のない自信があるからうまくいくと思っている状態なので、今すごく幸せだなと思います。これ以上の幸せはないかもしれません。

いろいろな地域に関わっていますが、、実はまちづくりという言葉をあまり使っていないんです。まちづくりというのは、こういう感じで自分が幸せだなと思うことの集合体というか、みなさんが未来を作っていく活動や生活をしている集合体がまち、という感覚なんです。なので自分が幸せな状態であるのがすごく大事だなと思います。未来をつくる作業を皆さんもできる状態になっていけばいいなと思いますし、率先してそれを示していければいいなと思っています。

菅原:ありがとうございます。すごくいいですね。今が幸せだって言えるのは、すごく幸せですよね。

「絶対的な不幸」をなくす

菅原:僕は幸せな人と不幸な人の違いは紙一重だと思っているんです。世の中には「絶対的な不幸」というのが存在して、ものが食べられないとか、殺されそうになるとかはその一部です。でも「絶対的な幸せ」はなくて、幸せは相対的なものだと思っているんですね。幸せな人って今あるいいところを見られるんだと思うんですよ。幸せじゃないといつも言っている人は、客観的に見ると幸せな要素がたくさんあるのに、できないところを探すんですよね。藤井先生にもご苦労はあって、一生懸命に探して苦労や辛いことをリスト化すれば意識するかもしれませんが、今の幸せだけを見ていたら全然たいしたことがないと思えますよね。

藤井CDO:そうですね。辛いことも、あるのはあるんですけれど。

菅原:辛いことはスパイスで、人間って辛いことがないと、幸せを感じない。なぜかというと幸せは比較でしか見られないからです。自分ごとで恥ずかしいですが、藤井先生が起業家として輝いていた頃に、僕は経済的に苦労していて、食事にも困るほどでした。そういう中で茶碗一杯のごはんが出たときに、「こんなにおいしいのか」と思いました。幸せのハードルが低いので、ごはんがあるだけで幸せだったんですね。

僕はワインが好きですが、ワインを飲むだけではなくて、一緒に飲んでくれる人がいるのが幸せだと思っているんです。家族の場合も、藤井先生のような友人の場合もありますが、一緒に飲もうって誘える人がいない人もいるわけじゃないですか。こうやって「番組に出て」とお願いしたら二つ返事でOKをもらえて。

藤井CDO:「喜んで」、と。

菅原:少なくともこの番組のゲストはほとんど僕から誘っているので、そうやって答えてくれる人がいてくださって、社会的にも会話できる人がいるというのはとても幸せです。そう考えると幸せって、きりがないくらいあるじゃないですか。

藤井CDO:そうですね。これは本当にみなさん違うので、自分の幸せを他の人に押し付けるというよりは、絶対的な不幸みたいなものを少なくしたいですね。幸せな状態を見せるというか、あり方を自分がやっていって、その雰囲気を感じてもらえば一番いいかなと思っているんです。まちづくりというと自分とは離れたけっこう高いところにあるような気がしてしまいます。そこに住んでいる人が全員幸せな街というのも、おかしな話だろうと思うんです。全員一様に、一緒に幸せということはないので、絶対的不幸がない街というのが目指すべきところだと思います。まちづくりでみんなの幸せをつくるというよりは、個人の幸せを見つけられる環境にいるようにするほうが自分の性には合っているかなと思いますね。

菅原:まさに「絶対的な不幸」を排するということですね。幸せは多様だし、そういう人たちがたくさん自然に集まって、その結果、まちの形になっていくということだろうし、藤井先生が今デジタルでやっていることは、それを後押しする作業なんだということですね。だから選択肢の中にデジタル技術もあることで、自分が選ぶ手段が増えて、自分がやりたいことが増えて、幸せになる可能性も増えていくんでしょうね。
話は尽きないですけれども、今日は最初の世界観の話から、お仕事のご苦労、最後に幸せの話まで、本当に素晴らしいお話を聞かせていただいてありがとうございました。

藤井CDO:ありがとうございました。

 

対談を終えて

今ここにあるそれぞれの幸せが、まちをつくる。

藤井さんとの対談で、磐梯山のふもとで日常のよろず相談からDXの課題につながり、そこから一人ひとりが未来を考えていく取り組みが広がっていく様子が浮かびました。

「デジタルで何ができるのか」ではなく、「どのような社会を作りたいか」。そのために活用できる選択肢をデジタルで豊かにしていくことが、それぞれの幸せにつながっていくのですね。

#ホンネのDX これからも、あらゆる地域・あらゆる人たちのホンネとトランスフォーメーションを紐解いていきます。

 

会津の暮らし研究室
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