深谷市 地域通貨ネギーによるデジタル基盤の構築と新たな自治体経営について|Digi田甲子園 実装部門(市)ベスト4

自治体DX白書編集委員会は、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が主催した、令和4年度夏のDigi田甲子園で実装部門(市)ベスト4を受賞した取り組みを深谷市 産業振興部 福嶋さまにインタビューをさせていただきました!地域通貨ネギーによるデジタル基盤の構築と新たな自治体経営についてとは?

デジ田メニューブック「地域通貨ネギーによるデジタル基盤の構築と新たな自治体経営について」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0034.html

ネギーで地域内の経済循環を目指す

−地域通貨「ネギー」の導入のきっかけや背景を教えてください

地域での買い物や市役所窓口での支払い等、生活の様々なシーンで地域通貨「ネギー」を使うことによって市民や団体の行動変容を促し、地域内経済循環の向上と地域課題の解決を図り、地域一丸となった持続可能なまちづくりを目指す取り組みです。

深谷市の人口は2000年の約14万6千人をピークに減少しています。およそ40年後の2060年には約9万人台までに減少。同時に高齢化が進行し、市全体の約43%が65歳以上になると推計されています。人口の減少、少子高齢化による地域経済の縮小や税収の減少、地域課題の深刻化が予想されます。そこで深谷市では「深谷市産業ブランディング推進方針」の基、3つの取り組みを行っています。その一つ「地域内経済循環を高める取組み」として地域通貨を導入しました。

深谷市出身である渋沢栄一の「論語と算盤(道徳と経済は一致しなければ仕組みや社会は長続きしない)」の精神から、地域内経済の循環においては様々な場面で地域通貨を使えるということ、そして地域課題の解決に貢献することで地域通貨が一部貰えるという形にすることで、人口が減っていく中でも地域を持続できるものにしていきたいと考えました。

導入にあたってどのようなサポートを行っていますか?

ネギーはデジタル端末を持たない方にもご利用いただけるようアプリとカードの両方を用意しています。初めはカードタイプをお持ちの方も、アプリに変更することができ、登録者の8割の方がアプリを利用しています。取得についてはオンラインだけでなく、本庁舎と支所にサポート窓口を設置してサポートをしています。この取り組みを始めた頃にコロナ禍になったため、経済対策においてネギーがとても役立ちました。利用者の方からは、ネギーの取り組みはありがたいとか、またポイントバックキャンペーンをやってほしいなど好評です。

一方で、カードの利用には加盟店に端末を置く必要があるので、カードの利用ができない店舗があるのが現状です。カードをご利用の方からは、カードが使えるお店を増やしてほしい。残高を知る方法がわかりにくい。といったお声もいただいています。

経費削減や業務効率化にも

行政において良かった点を教えてください。

例えば、紙の商品券等を郵送すると簡易書留料金が発生します。しかしネギーは遠隔でのポイント付与が可能なので、普通郵便を発送後にポイント付与を行うことができます。これを活用することで、簡易書留料金2800万円ほどのコスト削減ができています。ポイントプログラムを自由に設定できるので、ポイントの付与条件や、利用範囲、利用期限などを設定することができるので幅広い事業で活用しています。他にも税金の納付方法を口座振替に変更していただくとネギーを付与するキャンペーンを行うことで、口座振替の申し込み者数が約2倍に上がりました。これにより手数料の削減ができると共に、納付書、督促通知等の発行に伴う印刷費の削減や職員の事務負担を減らすこともできています。

市としてこれまでなかなか進みにくかったこのようなことや深谷市としてやっていきたいことをネギーと共に発信することで、市民の行動の変化、行動の後押しに繋げて、行政コストの削減や業務の課題改善、政策形成に役立てています。

将来の展望やシステムの活用を教えてください

まだまだやるべきことがたくさんあります。農業を核とした産業ブランディングのアグリテックのような難易度が高いものは行政だけではなく、民間企業と連携して日本のモデルを作ろうとしています。地域通貨がブームで終わらないよう、ネギーによる行革モデル事業を実施し、行政コストを削減することで地域通貨システムへの投資と市民への還元を増やし、地域内経済循環の向上と地域課題の解決に、地域一丸となって取り組んでいきたいと思っています。

参考URL

深谷市地域通貨「ネギー」
https://www.city.fukaya.saitama.jp/soshiki/sangyoshinko/sangyobrand/tanto/sangyobranding/tiikituuka/index.html

深谷市産業ブランディング推進方針
https://www.city.fukaya.saitama.jp/soshiki/sangyoshinko/sangyobrand/tanto/sangyobranding/1561592592641.html

深谷市について

人口:141,343人(2023年6月時点)
面積:138.37km²
深谷市は、埼玉県北西部に位置し、東京都心から70キロメートル圏内にあります。日照時間が長く晴れの日が多い温暖な気候です。肥沃な土地に恵まれ、深谷ねぎをはじめとする農産物の生産が盛んです。またチューリップなどの切り花生産は全国トップクラスの生産量を誇っています。
「近代日本経済の父」渋沢栄一ゆかりの地でもあります。

深谷市WEBサイト
https://www.city.fukaya.saitama.jp/