【#ホンネのDX】DX人材の育成により地方の課題を解決|株式会社MAIA代表取締役 月田有香さん(2)

女性の活躍と地方自治体のDX化支援

#ホンネのDX  3回連続でお届けする株式会社MAIA代表取締役 月田有香さんとの対談。
1回目では、女性がエンパワーメントできる社会の実現のために、完全リモートで活躍できるMAIA女子の育成を選んだ経緯を語った月田さんでした。

今回は、そんな月田さんが行うもうひとつの活動、地方自治体のDX化推進の取り組みについて、具体的な内容を伺います。

女性支援と地方の課題…酒田市のモデルケース

菅原:前回、女性たちを再教育しDX人材を育成することによって、在宅完全リモートで女性が活躍するためのプラットフォーマーを目指す、というお話を伺いました。
女性活躍DXということについて、今具体的に実践されている取り組みについてお話しいただけますか?

月田社長:では、MAIAが2019年から山形県酒田市で取り組んでいるRPA人材教育のお話をさせていただきます。
酒田市はサンロクというコワーキングスペースをお持ちで、フリーランサーになりたい女性たちが集まってらっしゃいます。そこで女性たちにRPAのスキルを身につけていただく教育をしています。
企業にRPAを導入できる人材を育成しているのですが、酒田市でDX・デジタル化を推進したいけれどどうすればいいのかわからないと思っているような企業さんに対して彼女たちが支援する、という取り組みを酒田市と一緒にさせていただいています。

菅原:それ、面白いですね。なんでかというと、自治体、特に地方の自治体が抱える課題をいくつか解決していると思って。
まず、女性の就業支援、賃金向上。もう一方で中小企業のDX支援は大きな課題になっていて、支援できる人材がまずいない。そこで女性たちが支援することによって双方の課題が解決できそうな気がしますね。

月田社長:それと同時に、例えば酒田市在住の女性がお仕事を見つけられずに酒田市からいなくなってしまう、優秀な女性が流出することは防ぎたい。リモートであればお仕事はできますから地場の企業のDX推進だけでなく、東京の企業の案件もやって下さったり、場所は問わなくなってきています。

菅原:東京の企業はオンラインで出来るから地方にいてもやってもらえる、逆に地方の中小企業のDXに関してはテレワーク環境が無いから最初は行って支援しなければならないだろうし、そこにいる意味がある…すごく画期的ですね。

月田社長:酒田市は3か年計画でしたので今年で育成は終了します。今後サンロクを法人化していって酒田女子BPOチームのようなものを作ろうかと考えています。

MAIA女子育成の3つの苦労とは

菅原:今のお話を伺うと、地方自治体のみなさんがうちもうちも…になると思うのですが、とは言ってもやはりご苦労はすごくあったと思いますし、今でもあると思いますがいかがでしょうか。

月田社長:もちろんありますよ。まず自治体関連でこの座組みをする上で難しいのは、育成した女子の出口を絶対確保しなければならないので、そこを苦労します。これが1点目。
2点目は女子の育成は実はとても大変なんです。特にパソコン触ったことありません、のような方も対象になるので、パソコンの使い方から始めて、リモートで働くために必要なツールってたくさんありますよね、ZoomのようなWeb会議ツール、Slackなどのチャットツールも使いこなさないといけません。開発する際にお客様のパソコンにアクセスするようなツールを使ったり、仮想環境上で開発をすることもありますので、そういった知識を教えることに苦労をします。
3点目はMAIA女子は雇用しているわけではなくフリーランサーとして業務委託契約で働いてもらっています。納期や責任、自分がやる業務範囲をきっちりとして請求を出すということが求められるので、経験のない女性にはある程度のマインドセットが必要です。そこを心を込めて教えていくことに苦労をしましたね。

女性が活躍できる雇用体系を

菅原:確かにスキルセットまで得たとしても、業務委託・フリーランスとしてやっていくとなると一番最初にぶつかるのが自分の値段のつけ方や、法律的部分でどういう契約を結んでいけばいいのかとか、ですよね。

月田社長:先ほどお話しした女性が月40時間、80時間なら稼働できます、となると会社としては正社員として雇えるような稼働時間ではない、なので女子が活用されるためにはフリーランスとして自分のペースでお仕事した方がいいんです。

菅原:正社員というのは目的ではなく手段でしかないのに、それを目的にさせてしまうからなんでも正社員になってしまう。だけど多様な働き方を考えた時に、時期によっては業務委託でやった方お給料も良くて自由に働ける、なんてざらにありますよね。

月田社長:だから雇用体系や勤務の仕方を工夫してあげないと女性は働きにくいんです。それを企業側に理解してもらうのに苦労しています。

菅原:業務で大切なことは時間を費やしたかではなく、どんな成果を出したかなのに雇用だけで物事を考えるとどうしても時間管理だけになってしまいがちですね。

月田社長:ただ、コロナのおかげでといいますか、テレワークが一気に進んだんですよ。これはとても良いことでした。今までMAIAが大手と契約するのに「だってテレワークでしょ?」と相手にされなかったのですが、どこのシステム会社も全部テレワークに切り替えてリモートで開発というのが普通になってきたので一定数理解を得られました。
今すごくMAIA女子に対する案件が増えているんです。
MAIAの場合は160時間分を3人のチームで担うような構成をするので、チームで協力しあいながら1人前以上のパソコンを出していますから、その点もすごいと思っています。

菅原:今はコラボレーションもクラウドですごく進んでいるので合っているんでしょう。時代はテレワークじゃないと動かなくなっていますので、課題はありつつも今後期待が上がって来ますね。
地方の自治体の方たちにとってもいいお話なんじゃないかと思いました。

次回は、テレワークで実現する自由な生き方

月田有香さんとの対談は次回が最終です。
次回は、月田社長自身が考える幸せと今後の展望についてお話を伺っています。

株式会社MAIA
https://www.maia.co.jp/