自治体DXお悩み相談〜住民のデジタルデバイド

適切な対象に最低限の要素から

【質問】

デジタルデバイド対策について、国は「講習会を開く」といった対策を打ち出していますが、他にも対策は必要と感じます。デジタルデバイド対策を教えてください。

【答え】

講習会も重要なアプローチではありますが、もう少し理論とデータに基づいたアプローチが必要だと思います。

まず、私たちが考えなければならないのは、デジタルデバイドとはどんな状態であり、それが解消されているのはどのような状態であるかということです。その際に、知識、技術、環境の3つの要素にデバイドを分解して考えると良いのではないかと思います。

まず、知識についてですが、デジタル技術の活用や情報セキュリティに対する基本的な知識が必要です。具体的には、デジタル技術を活用することで、犯罪に巻き込まれないことや無用に自らの個人情報を流出させないといったことに対する知識です。

次に、技術についてですが、情報通信端末等を活用できる技術が必要です。情報通信端末については、日々ユーザーインターフェースが改善されているので、その人にとって適切な端末を用いてもらうことが大切です。その他にも最低限のソフトウェアやアプリケーションの活用技術も習得できると良いでしょう。

最後に、環境についてですが、情報通信技術にアクセスできる環境が必要です。基本的には個人で情報通信インフラは整備されていますが、それらが困難な人たちにどのように環境を提供できるかを検討する必要があります。

これらの必要最低限の要素を満たしていない住民を把握します。その上で、把握された住民に対して行うアプローチとして、講習会という方法もあるでしょうし、地域でデジタル技術の活用に明るい人をデジタル活用支援員に任命し、アウトリーチの手法で寄り添いながら進めていく方法も考えられます。大切なことは、漠然と取り組むのではなく、適切な対象に最低限の要素を身につけてもらうことだと考えます。

 

回答者:菅原直敏(自治体DX白書.com共同編集長/磐梯町CDO)