DXの基本3〜デジタル化とDXの違い
DXの基本3〜デジタル化とDXの違い
「デジタル化」を英訳すると、3つの訳語が充てられます。Digitization、DigitalizationそしてDigital Transformationです。重要なことは、デジタル化という言葉には3つの意味があるという点です。なぜなら、私達がデジタル化という言葉を使うときに、話し手と受け手とでまったく異なった意味で用いていた場合、話が噛み合っていない可能性があるためです。
それぞれの訳語に対して、意味の揺らぎはあるのですが、自治体関係者の方が思考整理されるために、私が分類・定義し直した図があるので、それを参照しながら以下にご説明します。
情報のデータ化(Digitization)
最初のデジタル化の段階は、情報のデータ化(Digitization)です。これは、アナログの情報をデジタルの形式に変換する技術的過程です。例えば、教科書を電子教科書にするようなペーパレス化の取り組みがこれにあたります。
ICT化(Digitalization)
次のデジタル化の段階は、業務のICT化(Digitalization)です。これは、情報のデータ化を前提として、作業をICT化する業務・技術的過程です。例えば、住民票をオンラインで取得できるようにするといった業務プロセスのICT化の取り組みがこれにあたります。
DX(Digital Transformation)
最後のデジタル化の段階が、デジタルによる価値創造、つまり本書のテーマであるDXです。これは、情報のデータ化、業務のICT化を前提として住民本位の行政、地域、社会を再構築する価値共創的過程です。この段階になると、今までの行政運営の前提条件すらも根本的に見直した上で、デジタル技術も活用した各種取り組みが行われます。私の知る限り、この段階に至っている日本の自治体は非常に少ないです。
この3つのデジタル化は段階的なステップとなっています。したがって、DXを実現するためには、情報のデータ化と業務のICT化がある程度進んでいることが前提条件となります。
以上より、デジタル化という言葉は、DX含む全体的な概念と言えます。