【特集~東京都の最新DXを徹底解剖!】その3~DXで変わる、都庁の働き方~
2021年8月25日
特集~東京都の最新DXを徹底解剖!
その3~DXで変わる、都庁の働き方~
自治体DX白書.comの編集委員会では、編集部の気になる自治体の皆様にお声がけをし、自治体におけるDXの最新事情や実際の取り組みを取材させていただいています。第一弾として、東京都のデジタルサービス局の方々にお話を伺いました。(全4回)
Q:DXの価値観を広げるためには何が大切ですか。
荻原:デジタルは、便利になったことをユーザーが気づかないのが一番いいと思っています。気が付かないうちに、気が付いたら便利になっているのが理想の形です。
芹沢:けれど、その実現のためにあえて最短コースは選んではいません。最短コースは同時に軋轢も生みます。スピードを重視すると合意形成が損なわれることもあるので、答えを出してまっしぐらにはしない。焦らず、慌てず、結果として全体最適の空気を広げていていくことに気を付けています。
荻原:DXの肝はまさにそこですね。いつの間にか便利になっている方がよいですが、押し付けられると、なかなかやってくれない。これ便利だね?じゃあ使ってみようか、と自ら思ってもらうことが大切です。便利であればそれを使うと思います。
Q: 各局の先にいる都民の暮らしやサービスのDX化とは?
荻原:都民の皆様に必要なものを一番知っているのは、専門領域を担当する各局です。我々はそこについては、わからないんですよね。都民の皆様の欲しいものやサービスを我々が提案するのは難しい。そこで、各局の悩みや課題を聞き、都民や事業者のQOS(クオリティ・オブ・サービス)を向上させようと思っています。
芹沢:都民の皆様からのフィードバックの取り方を支援することはあります。例えば、今までの郵送によるアンケートから、タブレットでその都度フィードバックがもらえるような仕組みもつくりました。サービス開発については、開発してサービスを開始して終わりではなく、サービスを始めた日を改善のスタートラインと位置づけ、繰り返し改善を重ねることがポイントだと考えています。
Q:実際に伴走することで効率化された具体的業務はありますか。
荻原:ひとつあげられるとすれば、コロナ対策の業務ですね。ゴールデンウィーク前、飲食店の店舗リーダー向けにヒアリングを実施する業務を担当局と検討した結果、タブレットで集計しダッシュボードで見えるようにしました。今までは紙でヒアリングをおこない、それを帰庁してPCに入力していました。ヒアリングにまわっている人の手間もはぶけたし集計の手間もはぶけたのは成果だと思っています。
芹沢:細かいですが、ヒアリングの際のサインを書く枠が小さいとか、そこはすぐに大きく修正するなど、やりにくい、使いにくい、との指摘があった部分はすぐに対応して直しました。
Q:DX化を行う事で、都庁職員の働き方は変わりましたか。
芹沢:2つあると思います。1つ目は、システムや画面が変わるなど物理的なこと。そしてそれができると2つ目は、改善することへのハードルが下がったこと。今までは「変えることはいけない、継続することが大事」という意識でした。しかし、DXを通じて物理的改善を行うことで、意識の改善につながるようになりました。従来ですと、途中で変更することは、条件に差が出て不公平だから変えられないなど意見がありましたが、それが良いことにつながるなら、どんどん変えていこう、という、業務に対する意識改革が起こっています。
荻原:このフロアは紙がまったくないんです。打ち合せはモニターを活用したり、ウェブ会議で行っています。ウェブ会議で、参加者の画面をつなげば紙はいらないですしね。
芹沢:意識の変化としては、テレワークは進みました。職場の環境を変えればもちろんですが、従来タイプの職場でもテレワークが進んでいます。局長(局のトップ)や次長(局の№2)もテレワークをするので、幹部へのレクがWebミーティングで行われることもあります。
米川:集合研修もウェブに変わったし配布資料も電子化されました。全職員対象の研修もウェブ会議システムで配信し、録画で繰り返し見ることができるようになりました。
Q:オフィスもだいぶ変わったがどうですか
米川:プロトタイプなのでやろうとしてやったところはあります。人間の方がついていけない場合もあります(笑)。
芹沢:雰囲気変わりますよね。座ると書類が積まれていてどれから手をつけようか、というのはなくなりました。フリーアドレスなので、座るとすぐ仕事に入れる。
荻原:フリーアドレスで打ち合わせスペースをある程度フレキシブルに変えられるレイアウトにしたので、「ちょっといいですか」と話しやすくなりました。プロジェクトベースで仕事をおこなうには、理想的なオフィスレイアウトです。
芹沢:バックオフィスのメンバーがいろいろ考えて常にオフィスのあるべき姿も試行錯誤してくれています。
荻原:どのレイアウトが仕事しやすいかを毎週検討しています。月曜日に来るとレイアウトが変わっていたりします。我々も実験されているんですね(笑)。唯一、フリーアドレスの弱点といえば、新年度になって新しい人が来た時に顔と名前が一致しないことがある事くらいですかね(笑)。
芹沢:全員わかるようになるまで時間がかかりますね。
荻原:顔つきのディレクトリが欲しいなとは思います。
※以下4点は、デジタルサービス局オフィシャルサイトより
DXを通じて新たな働き方を行う都政チーム。次回は、採用や雇用について、そしてまとめの最終回です。
【特集~東京都の最新DXを徹底解剖!】その4~民間登用の人材の方から学ぶこと~はこちら。