DXの基本1〜自治体DXの定義
DXという言葉が、流行り言葉のように政府や地方自治体でも用いられるようになりましたが、一点、不思議に思うことがありました。それは、DXという言葉が定義されずに用いられていることです。政府の自治体DX推進計画においても、自治体のDXについての定義は明確ではありません。
また、DXの定義としてスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱したとされる「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」が引用されることがありますが、これは定義というより概念であり行政実務を進める上では不十分です。
これが、自治体関係者が躓く最初の部分です。明確かつ腑に落ちる定義が存在しないため、今までのICT化と一体何が違うのかについても判然とせず、迷路に迷いこんでしまいます。
そこで、自治体DX白書ではエリック教授が提唱した包摂的な概念も加味し、行政実務を行いやすいように、DXを「自治体・住民等が、デジタル技術も活用して、住民本位の行政・地域・社会等を再デザインするプロセス」と定義します。
重要な点は、「住民本位」という部分です。つまり、住民本位でなければ、どのようなデジタル技術を活用しても、それはDXではありません。
自治体に係るあらゆるものを住民(あるいはユーザー)本位に再デザインすることが大切です。