広報のDXを推進する茨城県「いばキラTV」

今回、自治体DX白書編集委員会は、インターネット動画サイト「いばキラTV」を運営する茨城県 営業戦略部 プロモーションチームのチームリーダー 関 健一さんにインタビューをさせていただき、情報発信を目的にした広報のDXについてお話を伺いました!

茨城県が“キラキラ”輝く情報を発信することをコンセプトにする「いばキラTV」は、茨城県が公式で運営するインターネット動画サイトです。これまで約1万本を超える動画を制作・配信しており、観光スポット、グルメから県内スポーツシーンまで、様々な情報を映像で配信しています。

”あれもこれも”を追い求めて運営に苦労した

―いばキラTVをはじめようと思ったきっかけは何でしょうか?

関:実は本県は、全国で唯一民放の県域テレビ局がない県で、県政情報をどのように県民に届けるのかが課題でした。そこで、インターネットを活用した動画配信を行うこととしました。ですので「いばキラTV」の立ち上げ当初は、民放のテレビ局に近い取組を行っていました。毎日、生配信(朝・昼・夕方)での放送を実施していたので、準備や確認作業がとても大変でした。テレビ番組と同じように、たくさんの企画や話題を伝えようと番組作りの幅を膨らませると、権利関係の調整や作業負荷がとても増大し、結果的に視聴数も伸びずで、日々の番組制作では大変苦労しましたね。

そのような生配信での悪戦苦闘が続く中、ちょうど立ち上げから2年が経った頃に、民間出身のICTディレクター(県職員)から観たいコンテンツを観たい時に観られる“オンデマンド型”への移行についてアドバイスを受けました。そのタイミングで、TVに寄せた生配信から「映像コンテンツの配信」に軸足を移し、今の「いばキラTV」の土台ができました。


※茨城県 関 健一さん オンライン取材の様子

茨城県の魅力を発信することを軸に

―茨城県にとって、いばキラTVはどんな役割を担っていますか?

関:今の 「いばキラTV」 は、茨城県の情報発信のツールとして、県の観光資源や豊富な農林水産物などの魅力を発信する動画を配信しています。もちろん、県が運営する動画サイトですので、民放のテレビ局などでは取り上げられにくい行政情報や高校生のスポーツ大会の様子なども配信しております。例えば、ラグビーや水泳大会の生配信もするなど、コンテンツ制作に当たって、地域に寄り添った発信を意識して進めています。

また、行政情報が届きにくい若年層に訴求するため、自治体初となる県公認Vtuberの「茨ひより」の起用や人気ユーチューバーとのコラボ動画制作を行っており、特に10-20代向け施策としてTikTokクリエイターとの連携企画など、ターゲットである若年層へのアプローチには、常に注力しています。

最近では、キャンプ芸人を起用し、実際に茨城県に来てもらい、茨城県で楽しむアウトドアの魅力を発信する動画も制作しました。

失敗してもまたやればいい!

―住民に認知される情報発信力を培うため、組織としてどのような工夫をしたのでしょうか?

関:動画を観てもらい、興味を持ってもらうには常に新しい企画を考え、視聴者の興味・関心や世の中のトレンドを意識したコンテンツを作ることが必要になります。継続的な情報発信をしながらも、他のコンテンツに埋もれないように新しい取組を考え続けなくてはなりません。

そんな中、茨城県庁には、「失敗してもまたやればいい!」「新しいことをどんどんやろう!」というとても前向きな雰囲気があります。知事をはじめ県庁全体が新しいことに挑戦することを積極的に推奨し、新たな挑戦には失敗しても得られる価値があるという考えが浸透しています。そのような組織風土があるので、職員が失敗を恐れずワクワクすることに挑戦ができるのではないかと感じています。

いばキラTVのこれからの挑戦

―日々新しい挑戦を続ける、いばキラTVがいまチャレンジしていることは何ですか?

関:茨城県は東京から近い距離にありながら、豊かな自然や農林水産物、誇れる観光資源を持つ、とても恵まれた県です。コロナ禍の収束状況を見ながらになりますが、これからは、海外の観光誘客促進にもチャレンジしたいと考えています。海外のインフルエンサーを起用するなどして、特に日本に興味・関心の高い台湾に向けた発信を強化したいと思っています。また、これからも国内外の視聴者のニーズに寄り添い、県の魅力や地域情報など県として伝えるべきことを「いばキラTV」を通してしっかり発信し続けていきたいと思っています。

広報のDXに取り組む自治体さまへ

―広報のDX化は住民とのコミュニケーション手段としても有力ですが、何からはじめれば良いのか分からない自治体は多いかと思います。そんな自治体にアドバイスをいただけますでしょうか?

関:情報発信には様々な手段があります。誰でも動画がアップできる今の時代、あまり費用をかけずに職員自らが主体となり発信することもできるようになりました。茨城県でも、公務員YouTuberとして職員自らが出演する動画コンテンツの配信に取り組んでいます。まずは、試してみる、取り組んでみることが一番大事だと思います。

情報発信としては、紙媒体などの従来型の広報ももちろん大切ですし、各種メディアでの広告なども重要だと考えています。そういったものも大事にしつつ、ターゲットや伝えたい内容を常に分析し、デジタルを含めそれに適した媒体は何なのかを考えながら、試行錯誤と新たな取組への挑戦を続けていくことが重要ではないでしょうか。

 

編集者あとがき

「広報のDX」をテーマに、「いばキラTV」を担当するプロモーションチームの関さんに立ち上げ当時のエピソードや、様々なチャレンジについてお話いただきました。日本には、その場所ならではの特徴や、豊かな文化が溢れる地域がたくさんあります。一方で、以前はその魅力を発信する事は決して容易なことではなく、地域外の人にPRすること、時には住民へのコミュニケーションでさえ困難な状況がありました。しかし、今回の茨城県の事例に見られるように現在は様々な情報発信のツール、方法が世の中にはあります。

ずっと抱えていた問題が解決されたり、やりたかったことが想像よりも簡単に取組めたりと、広報のDX化には、そんな可能性がまだまだあるはずです。大切な事は、何のために、誰のために、なぜそれを実施すべきなのか、そんな明確な想いが広報のDXの可能性をさらに広げていくのだろうと、今回のインタビューを通して感じました。自治体DX白書編集委員会はこれからも、広報のDXに取り組む様々な事例を発信し、皆さまの挑戦の一助になれるような情報発信をめざしてまいります。