【#ホンネのDX】Wellbeingなスマートシティの実現を目指して|一般社団法人スマートシティ・インスティテュート理事 南雲岳彦さん(1)

スマートシティにおける第一人者として

#ホンネのDX 今回は一般社団法人スマートシティ・インスティテュート理事 南雲岳彦さんとの対談です。

スマートシティとは、都市が抱える諸問題に対してICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画・整備・管理・運営)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区、と定義されています。

南雲さんは日本に限らず世界のスマートシティについて情報の共有・発信をしている方で、様々な自治体のアドバイザーでもあります。
また、アカデミックな分野では大学の客員教授も務めてらっしゃいます。

そんな南雲さんに、スマートシティについての情報の発信を通じて、叶えたい未来についてホンネを伺いました。

ポリシー側についての情報発信を

菅原:みなさんこんにちは。自治体DX白書共同編集委員長の菅原直敏です。
今日のゲストは南雲岳彦さんをお呼びしております。
南雲さんは実に多彩多様な活動をされている方なのですが、今日のメインの部分での肩書でいうと一般社団法人スマートシティ・インスティテュートの理事をされてらっしゃいます。
DX、スマートシティだけに限らず様々な分野の方々と対談をしたり、世界のスマートシティの事例などの発信をされており、まさに日本のスマートシティの第一人者だと思っております。
政府、自治体関係もまたDX、スマートシティを推進していますので様々な公職、規制改革推進会議や産業構造審議会の委員、また浜松市、鎌倉市、東広島市などのアドバイザーやフェローもされています。
その他アカデミックな分野にも強く、京大やタリン工科大学など数々の大学で客員教授も務めてらっしゃる、これだけ多様な方が今日のゲストです。

南雲理事:菅原さん、過分なご紹介をいただき感謝します。
多様な分野にまたがっていますがやっていることは実は一つで、スマートシティやデジタルガバメントについて、テクノロジーというよりはポリシー側について色んな情報を皆さんと共有させていだくというのがやっている仕事なんです。

必ずしも現場にいるわけではないので表層的なことになりがちかもしれませんが、その分多角的に、海外も含めてお役に立てる情報を持って来られればなぁというのがいつも心がけていることです。

キラリと輝きを失わない国、ジャパンモデルのまちづくり

菅原:南雲さんが実現していきたい社会ですとか思い、その源泉をお話いただけたらと思うんですが。

南雲理事:日本のスマートシティ、特に地域がみんな幸せになれるようなWellbeingなスマートシティを実現することの役に立ちたいなと思ってるのがひとつですね。
もうひとつは、日本が国際社会の中で影が薄くならないように、キラリと光る、輝きを失わずに日本の個性を活かせるようなそういう国であって欲しい、このふたつがいつも念頭にあります。

前者で言うと、スマートシティというのがまさに活動内容そのもので、人口減少、高齢化、過疎化、生産性の低下など様々な課題があるのですが、日本流の答えを見つけられる国だと思っているので、昔、高度成長期に実現していたようなジャパンモデルにたどり着いて誇りに思う、そういうまちづくりが出来ることが目指しているところです。
転じてそれが海外、特にヨーロッパ、アセアン、インドなど価値観を共有できる国との間で、日本は信頼できる国であり、日本の価値観は参考になるという風にコミュニティの一部に入って国際社会の一員であるということももう一つの目指している点です。

解くべき方程式はもう見えている

菅原:なるほど、個人の幸せからグローバルなところまで広いなぁと思ったのですが、実際やっていてその感触やきっかけ、ご苦労など何かありますでしょうか?

南雲理事:いまだまだ道の途中だという感覚はありますし、コロナの影響で急がなきゃいけないとお尻に火が付いているというところもあるし、蓋を開けてみたらこれしかできてなかったのかっていう経験もしたかと思いますが、今はもう前に進むしかないというところにいるというのは実感としてあります。

海外の事例をただ学んでいた時代はもう終わっていると思います。もちろん参考にし続けるところは残っているとは思いますけども、コピーするのではないところにはたどり着いていると思うんです。
日本の特長はボトムアップを大切にしたり、共感性を大切にしたり、というところもあるし、やはり地域からの方がいい事例も増えていることも考えると、アメリカや中国のようなビッグスケールのモデルでもなく、かといって本当に小さな国の事例でもない、ミドルスケールというところにあることに日本のよさの第一歩、もう土台が出来てると思うんです。
ミドルスケールで地域のコミュニティの中でお互いの信頼の上にデジタルが乗っかるっという方程式がもう見えているので、それをみんなで一歩一歩どうやって詰めていくかという詰将棋をやっていく感覚かなと僕は思っています。

菅原:方程式が見えている、何を解くべきかっていうのが見えているというのがすごく大きいなと思いました。
日本人って現場とか技術とか作るのは得意ですが、ポリシーメイクや戦略を作るのがうまい人は少ないです。
南雲さんが自己紹介でポリシーメイクをやっていると仰いましたが、今はブランドデザインを描くのがDXだから、そういう役割の人が必要なのだろうと思います。
逆に言えばそういう方程式であったりビジョンというものを示せる人たちと、戦略から現場に落としていく人たちが一丸になっていくのがおそらく今の日本のデジタルであり、もう後戻りはできないんだろうというのは僕も同感です。

次回はスマートシティ実現のために今すべきことについて

南雲岳彦さんとの対談は次回に続きます。
次回は、南雲さんに日本のスマートシティの現状と課題からの展望について、具体的な内容や目指す姿を伺います。

一般社団法人スマートシティ・インスティテュート
https://www.sci-japan.or.jp/