【#ホンネのDX】小さな町のデジタル変革|磐梯町議会議員 玉水まどかさん(2)

デジタルというわけのわからないものに…

#ホンネのDX 3回連続でお届けする福島県磐梯町議会議員 玉水まどかさんとの対談。
1回目では、一度町から出たからこそ知るふるさとの魅力と、自身が町議会議員として実現したいことを語った玉水さんでした。

今回はそんな玉水さんが磐梯町議会の委員会の中で取り組んできたこと、また、デジタル最高責任者として菅原編集長が関わった磐梯町のデジタル変革について、具体的な内容を伺います。

まずは議会のオンライン化を

菅原:前回、都会と地方の架け橋として交流人口を増やし磐梯町のよさを全国に広げていきたい、というお話を伺いました。
磐梯町は行政もデジタル変革を進めながら、町議会としても昨年オンラインでの委員会開催に挑戦したり、ペーパーレス化を進めたり、最近では磐梯町議会はインターネット配信も含めたインターネット公開をしていて、日本で最も遅れている町から一気に最先端に行ってしまいましたね。
もちろん注目もされますし、メリットも逆にご苦労もあったかと思います。
そういった中で玉水さんがどんなことをしてきたのか、お話しいただけますか?

玉水議員:昨年、議会のデジタル変革検討委員会が発足されてから、まず委員会をオンラインで開催するということを目指しました。

磐梯町は10人の議員の小さな議会なので全員のコンセンサスが取りやすく、DXに取り組んでいこうという全員の理解が早かったとおっしゃっていただくのですが、磐梯町議会には高齢の議員さんも多いですし、やはりデジタルというわけのわからないことに対しては知らない以上どうしてもみなさん恐れがありますし、それぞれの正義感もあります。

わけのわからないことにお金を使うわけにはいかない…菅原さんが最初にお顔出しいただいた時にはそんな感じでした。
じゃあ全部デジタルにしたら役場なんかいらないじゃないか、のような話も出たように記憶しているんですけども、そのひとつひとつの声に対して丁寧にお答えしていただけたことが、議会が一致団結して進むには大きかったと思います。

議会の本来あるべき姿がそこにはあった

菅原:私がそのオンライン議会の過程に関わらせていただきながら感じたことなのですが、磐梯町議会が一歩踏み出せた理由が3つあると思います。

1つ目はコンセンサスが取りやすい。人数が少ないだけではなく磐梯町議会は議員さんたちがきちんと議論をするんですね。
これは当たり前のことで議会の本質的な機能なのですが、磐梯町議会には議会の本当にあるべき姿があったこと。
2つ目は、10人の議員さんのうち僕が知る限り1名を除いて全員スマホなどが使える人だった。
その1名は議長なんですけど、議長もスマホを購入されて乗り出してくれて。デジタルというものに対してのアレルギー反応は弱かったこと。
3つ目は逆に何もなかったからよかった。中途半端に何かしてなかったから飛び越えられたんでしょうね。

玉水議員:GOサインは出したものの振り戻しの議論も出て来たりしました。
DXに進んでいくと決めて1年後ぐらいに、そもそもDXって必要なの?っていう議論をイチから始めたりとか。

菅原:でも、それは大切ですよ。大きい議会だとやる方向性がこうだと言った瞬間に、あとはノーチェックで悪い意味でお任せみたいなところが結構ある。
僕はそういう意味で磐梯町議会をすごく尊敬しているんですよ。

玉水議員:本当に自分たちの生活に活きるものにしていくためには、なんでもかんでもデジタルを取り入れていくというより、ひとつひとつ今私たちにそれが必要かということを検証して慎重に進めていくというのも非常に大事だと思っているので、振り戻しの議論が出た時には丁寧にお答えをしていただいています。

菅原:やっぱりデジタルは手段であって目的ではない、ということがすごく大切ですよね。

子育てをしながらオンラインで議会に出られる未来

菅原:磐梯町議会10人の中で女性議員さんはお2人いらっしゃいますが、地方の議会だと女性議員がそもそもいないというところもあります。そういったご苦労はなかったですか?

玉水議員:女性議員は2人だけですが、議会の雰囲気もあってのびのびと活動させていただいています。
ただやはり子育てなどの面での意見を吸い上げるのはどうしても女性議員の方が有利だと思うので、他市町村においても女性議員というのは人数が必要ではないかと思います。

菅原:そういった意味でもオンライン議会というのは、お子さんをお持ちの議員さんがお子さんを横で見ながら、ご自宅から委員会に参加できるようなことも想定に入りますね。

玉水議員:そうですね、それができたらもう本当に最高だと思います。
正式な委員会ではありませんが、議員同士でちょっとお話が必要な時などはタブレットのTeams(オンライン会議システム)を使って自宅から全員でお話合いをしたりしています。

菅原:えー、そんなこともしてるんですか?すごいですね。議長も?

玉水議員:議長もです。
目的としては、災害の時でも地方自治法では議場に過半数以上の議員がという文言がありますが、議場が無くなってしまう場面も想定されますので、そういう時も議会が機能できるようになったらいいよね、ということです。
議場にいなくてもみんなが話し合えることがどこまでできるかということの実証は進めています。

菅原:このテーマは全国の議会関係者に勇気を与えるお話だったと思いますね。

 

次回は、豊かな自然の中で暮らす幸せ

玉水まどかさんとの対談は次回が最終です。
次回は、磐梯町のDX化で感じた玉水さんご自身の幸せについて、互いの考察を述べていきます。

福島県磐梯町
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