【特集~東京都の最新DXを徹底解剖!】その1~デジタルサービス局とDX化への道筋~

特集~東京都の最新DXを徹底解剖!

その1~デジタルサービス局とDX化への道筋~

自治体DX白書.comの編集委員会では、編集部の気になる自治体の皆様にお声がけをし、自治体におけるDXの最新事情や実際の取り組みを取材させていただいています。第一弾として、東京都のデジタルサービス局の方々にお話を伺いました。(全4回)

東京都デジタルサービス局
ネットワーク推進担当部長 芹沢孝明様(左)
サービス開発担当部長 荻原聡様(中央)
総務部人事・広報担当課長 米川美香子様(右)

 

デジタルサービス局の入り口で出迎えてくれるヤギ。紙を食べるペーパレスの象徴。

 

Q:「デジタルサービス局」について教えてください。

芹沢:デジタルサービス局は、先端技術による全庁的な業務改革や、全職員のデジタル能力の底上げを目的に設立されました。

具体的には、「各局・区市町村のDXを技術面からサポート」「デジタルに関する全庁統括」「デジタル人材の結集と都庁職員の育成」を3つの柱にデジタルガバメント・都庁の実現に寄与していきます。 

Q:3つの柱のうちの「デジタルに関する全庁統括」とはどのような取り組みでしょうか?

芹沢:各局に現状の取材をし、アプローチの仕方をアドバイスする、いわばDXの入り口の業務です。別々の部署で行っている類似業務などを探し、ヒアリングをし、その業務の標準化を行ったり共通のルールをつくっています。

荻原:各局のDX支援ですが、各局の窓口業務を行うセクションと、個別のDXスキルで解決するセクションの大きく2つに分かれます。私のチームにはDXのスキルを持つデジタルシフト推進担当課長が17人所属しており、窓口対応チームに問い合わせがあると、まずは各局の悩みを伺い、私のチームで最適な人材(例:データベース、ウェブ制作など)をアサインします。

芹沢:東京都では、局ごとに予算があり、局単位で考え、局ごとにシステム開発など契約していく現状です。そのため、決定事項を上意下達で行うのではなく、まずはその局の課題を丁寧に聞いてから始めていきます。信頼感を得ながら、悩み事を解決できるよう進めています。今までに庁内でこのような横串対応のセクションはありませんでした。

荻原:DXを通じて各局から本質的な課題が出てきます。DX化に取り組むことで、都庁全体の現状把握をする良いきっかけになりました。

Q:東京都には「未来の東京戦略」、「シン・トセイ」、「スマート東京」など様々な計画や構想がありますが、それぞれの役割を教えてください。

芹沢:未来の東京戦略は、都の総合計画で、2040年代の東京の「ビジョン」と2030年に向けた「戦略」を体系化したものです。「シン・トセイ」戦略は、2040年代の東京の実現に向け、DXの推進を梃子として制度や仕組みの根本まで遡る「都政の構造改革」を進める戦略で、2022年度までに短期集中で取り組む具体策を盛り込んでいます。2025年度を目途に「デジタルガバメント・都庁」の基盤を構築します。スマート東京実施戦略は、「未来の東京」戦略で示した「スマート東京・TOKYO Data Highway戦略」の推進に向けて、令和3年度の事業等をテーマ別にまとめ、取組を具現化・加速化するためのものです。

Q:その中で、今年度の重点プロジェクト、目標を教えてください。

芹沢:シン・トセイでは、7つのコア・プロジェクトを設定し、重点的に取り組んでいます。

「未来型オフィス実現」「5つのレス徹底推進」「ワンストップ・オンライン手続」「オープンデータ徹底活用」「スタートアップ・シビックテックとの協働推進」「内部管理事務抜本見直し」「組織・人材マネジメント変革」です。都庁の各局でもそれぞれ、リーディング・プロジェクトを設定し、取り組んでいます。

Q:2025年を目途とする「デジタルガバメント・都庁(バーチャル都庁)」とは。その理想の形や、DX化されると行政がどのように変わるのでしょうか。

芹沢:まず、働く環境のデジタル空間への引っ越しです。「リアル」と「バーチャル」の2つの都庁を整備していきます。行政サービスがデジタル空間で提供できるようになり、現在「リアル」で行っているサービス(窓口へ足を運ばなくてはならない)を、「バーチャル」都庁でも提供します(スマートフォンで手続き可能に)。

 


グランドデザインから戦略・到達目標までしっかりと定めた上で行っている都庁のデジタル戦略。
次回は、実際に携わるうえでの苦労話や業務のコツなどを聞いていきたいと思います!

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