【特集~東京都の最新DXを徹底解剖!】その2~伴走型で体現する都政のDX~

特集~東京都の最新DXを徹底解剖!

その2~伴走型で体現する都政のDX~

自治体DX白書.comの編集委員会では、編集部の気になる自治体の皆様にお声がけをし、自治体におけるDXの最新事情や実際の取り組みを取材させていただいています。第一弾として、東京都のデジタルサービス局の方々にお話を伺いました。(全4回)

東京都デジタルサービス局
ネットワーク推進担当部長 芹沢孝明様(左)
サービス開発担当部長 荻原聡様(中央)
総務部人事・広報担当課長 米川美香子様(右)

 

Q:都が作るDXのフォーマットの区市町村への展開は考えていますか。

芹沢:都庁内の各局と区市町村のDX推進を技術面からサポートすることが、デジタルサービス局の3つの柱の一つです。「東京都・区市町村CIOフォーラム」など始めたばかりの取組を含め、大いに連携していきたいと考えています。
(編集部注: 第1回東京都・区市町村CIOフォーラムの開催について)

荻原:区市町村へも共通の課題が出てくれば支援ができると思います。

芹沢手続きや申し込みはある程度同じ方が使う側はやりやすいですが、人に個性があるように区市町村にも個性があります。そのため、その個性を活かしながらも共通化する、というバランスが大事です。すべての区市町村が同じデザインだと面白味もなくなりますしね。しかし手続きなどの使いやすさは共通でもいいと思っています。

Q:東京都という巨大な組織においてDXの司令塔を担われる中で、大事にされていること、意識されていることがあれば教えてください。

荻原まずは、悩みを聞くということです。事業のフェーズごとに悩みが異なります。企画検討、来年度の予算獲得、事業者選定、実施中の事業の悩み等、フェーズごとの悩みや課題を、局の人間とDXの専門家と一緒になって取り組む。例えば、アイディアが必要なフェーズであれば、必要な人を集めて一緒にアイディアを出しています。

芹沢オーダーメイドを大事にしています。正しい診断をより早く、も大事ですが、DXはみんなでやるものだし、解決策を絞ってこれしかない、というような進め方はしていません。多少手間がかかっても議論や事例研究をしながらともに伴走することを常に意識しています。

荻原:我々は、この働き方を伴走型と呼んでいます。各局の悩みと共に伴走をすること。主体はあくまでも各局です。DXの部分で支援する際には寄り添って伴走して課題の解決に向かっています。

Q:そういう仕事のやり方は今までの都庁内の業務でありましたか?

芹沢:これまでの都庁の世界ではありませんでした。デジタルに詳しい人も内部にいなかったです。

荻原:究極の最終目標は「デジタルサービス局がなくなること」なのです。つまり、伴走者がいなくても、各局にデジタルサービス局と同等のDX人材を配置し、DX化を推進できる状態をつくることです。伴走を脱却し、自走を目指したいです。

Q:ただ伴走者にもそれなりに知識やスキルが必要かと思います。都庁ではどのように集めていますか。

米川:採用の話ですね。プロパーの職員にはないスキルが必要でした。そのため、デジタルシフト専門の課長を任期付きで民間から採用しています。いまデジタルシフト推進担当課長が17名います。サイトに詳しい人、データに強い人などを採用して、各局のやりたいことに合う人をアサインしていっています。

Q 部署内で、個々人のスキルは共有化されていますか。

米川:メンバー内ではもちろん把握はしています。

荻原:今後は、支援をおこなう側のスキルを明確化・細分化し、悩みに対して適正な人を自動的にアサインできるようにしたいです。ただ、支援はとてもアナログです。コミュニケーションを繰り返し、悩みや課題を解決していくしかないと考えています。

芹沢:入り口としては受けるときは広く受けて、内部で伴走者を選ぶ段階で絞っていきます。絞り込みをする状況で個々人の持つスキルを同時に見ていきます。

Q 伴走者の担当は何人くらいでやっていますか。

芹沢:都庁各局の担当がいます。ハード部門担当、文化部門担当など、各局の業務に合わせてチームごとにわけています。データベースやサイト構築、映像作成の課題が比較的各局悩まれている部分です。

荻原:そして私のチームにデジタルシフト推進担当課長がいて、課題に即した適正な人物をアサインしています。つまり、「都政のテーマ×デジタルスキル」でチームをつくる。都庁では、おそらく初のプロジェクト型の業務です。実は、我々のデジタルサービス局自体もこのチームの支援対象です。芹沢さんチームに、デジタルサービス局担当がおり、私たちの自身もプロジェクトベースで仕事をしてみる、ということに挑戦しています。

芹沢:そうすることによって、ニーズも顕在化されていきますしね。

 


伴走型で行い、適正な人材を配置しながらすすめている都庁のDX。
次回は、「働き方」に迫ります。

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