対談~鎌倉市長の描く、共生社会の共創~前編
今回の「#ホンネDX」はゲストに神奈川県鎌倉市長の松尾崇さんをお招きし、「目指す世界観、自分らしさ、幸せとは?」といったテーマで松尾市長の本音を伺いました。松尾さんは、日本で最も有名な自治体の一つである「鎌倉市」の市長を、3期も務められており、ここだけでしか見られない、市長としての想いや人柄を収録しております。
共生社会の共創をめざして
菅原:本日はよろしくお願いいたします。鎌倉市は、行政的にもユニークな取り込みをしていますね。その中で私が一番関心があるのは鎌倉市の掲げる「共生社会」です。全国でも珍しい共生社会の条例を制定していたり、鎌倉市は医療とか福祉に関わるプレイヤーの人たちも多い地域ですね。さらに、今度はデジタルを取り込み、共生社会という柱と「デジタル」そして「スマートシティ」という柱で様々な企業と協業していて、全国的にも非常にエッジのきいた取り組みをしている印象です。
松尾市長:ご紹介ありがとうございます。市長としては、「共生社会の共創」を大きな柱として、鎌倉市の基本計画の中に位置付けています。効率性だけではなく、一見無駄と思えることも大切にしたいと思っています。それは、善悪で判断するわけではなく、多様性を尊重する価値感みたいなことです。私は本気で仲の良い町をつくりたいと思ってます。実際、これに共感しない方もいるでしょうが、これを乗り越えることが私の最大の使命です。鎌倉からもそうした無益な対立を無くしたいというのもこの共生に込めた思いにあります。
菅原:「共生」という言葉、深いですね。社会に対してもそうですし、自分自身の思いから出た「共生」というのも松尾さんの言葉から強く感じられました。
目指す世界観、自分らしさ、幸せとは
松尾市長:私は、「皆が本気で仲良くなる世界」を目指しています。世界では、様々な対立が生まれたり「●●ファースト」みたいな事が叫ばれています。私自身も、「鎌倉ファースト」と言えば市民から喜ばれるかもしれない、と思った時期もありました。でも、「自分だけが良ければいい」なんてことはなく、やはり共に生きていく、まさに共生社会ということを目指していくことこそ、目指すべき世界だと思います。市民、NPO、市役所、議会等、役割としてもちろん必要です。しかし、そこでの対立や分断を生むのではなく、お互いが足りないところ補い合う事が「共生社会の共創」の「共創」に込めた想いです。
最終的な目標としては、「鎌倉の町をどう良くしていくか」です。お互いの足りないところを指摘するのではなく、良い部分を互いにひき出していく事だと思います。それも含めてすべてを包み込めるような町を私は目指していきたいですね。
菅原:とても共感します。よく何とかファーストと言いますけど、確かにファーストってその人達にとっては1番かもしれない。でもそれ以外の人たちはどうなの?って思います。では、市長としてではなく、松尾さん個人としてどんな時に幸せを感じますか?
究極的に献身的であること
松尾市長:対話集会、説明会等、日々の生活で私の考えに反対する市民の方に接する機会があります。そういう方の話を聞いた時、この人の本当の願いってなんだろう?この人の恐れってどこから生まれるのかを聞き、それを知り、一緒に通じあえることが私にとっては今一番嬉しいことです。
菅原:なるほど。松尾さんは、究極的に献身的なんでしょうね。自分の幸せを聞いたのに、人の幸せを考えてしまうというのはやはりとても市長らしいなと思いました。それに、鎌倉市は神奈川県でもNPOとか市民活動の組織率が群を抜いて高いですよね。そう考えると鎌倉というのは、何か自分らしさや、それぞれが考える幸せを求めて活動される人たちが多いのだろうと思いました。
松尾市長との対談記事後編はこちら。