デジタル技術を前提とする仕組みの導入
【質問】
自治体でデジタル変革を進める際の課題は、いかに全職員に共通してDXの必要性(危機感でしょうか)を感じてもらうかだと思います。現場の職員に必要性を感じてもらうために必要なことは何だと考えられますか。
【答え】
職員の皆さんの意識を、デジタル技術の活用に向けていくことに腐心している自治体は本当に多いと思います。実際に同様のご質問を多く頂きます。
逆になぜ多くの職員は必要性を感じないのかという部分から考えてみると良いと思います。その理由は、実際にデジタル技術を活用する必要性が現業において少ないからだろうと推察します。
例えば、私がCDOを務める磐梯町では、デジタル変革戦略室はデジタルネイティブな組織として設計されているので、所属する全ての職員が基本的なデジタル技術を用います。そして、日々新たなソリューションの活用を試行しています。一方で、そうでない部署は活用がほとんど進んでいないこともありました。
そこで、各部署の職員の発案でデジタル技術を活用する前提条件と仕組みを構築しています。実際、全ての職員にテレワーク研修を受講していただき、その際にオンライン会議ツールの活用やチャットツールへの登録をしてもらいました。その上で、各部署でそれらを活用しなければできない業務を意図的につくりました。
ある部署では、毎日職員の検温をエクセルにまとめていたものを、チャットツール上での報告に変えたところ、全員がチャットツールにアクセスするようになり、その活用も促されていきました。あるいは、定期的に町長から職員への情報共有がされているのですが、それらはチャットツール上でのみ共有されるため、仕組みとしてチャットツールへのアクセスが必要となります。
アクセスしているうちに、他の用途でもチャットツールを活用するようになり、ようやくチャットツールを活用した各種取り組みが進み始めているところです。これらはほんの一例ですが、意図的にでも現場職員にデジタル技術の必要性を感じる機会をつくることが、まずは初めの一歩になるのではないかとおもいます。