多気町ほか5自治体「Green & Digital Mie」三重広域連携DXプラットフォーム推進事業~自然あふれる地域の魅力と、利便性の高いデジタルサービスが融合した、魅力あるまちづくり~|Digi田甲子園 アイデア部門ベスト4

Digi田甲子園 受賞事例特集

自治体DX白書編集委員会は、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が主催した、令和4年度夏のDigi田甲子園でアイデア部門ベスト4を受賞した取り組みを多気町デジタル戦略室 三井愉さまにインタビューをさせていただきました!

「Green & Digital Mie」三重広域連携DXプラットフォーム推進事業~自然あふれる地域の魅力と、利便性の高いデジタルサービスが融合した、魅力あるまちづくり~とは?

多気町、大台町、明和町、度会町、大紀町、紀北町の6つの自治体が、自治体の枠を超えて連携し、DXを活用して地域経済の活性化を進めていく取り組みです。行政だけでなく30を超える企業とも連携し、大型商業リゾート施設のVISONを地域拠点として周辺地域をデジタルの力でつなぎ、さまざまな施策に取り組んでいます。

過疎地における遠隔診療への取り組みの医療MaaS、AIオンデマンド交通システム、デジタル地域通貨、地域をつなぐデジタルインフラの構築、世界最大規模のメタバース病院、世代や地域を超えたメタバーススクールなど広域連携した自治体と民間企業が連携して地域住民と共に、地域の魅力はそのままに大都市と変わらない利便性の実現を目指しています。

デジ田メニューブック「Green & Digital Mie」三重広域連携DXプラットフォーム推進事業~自然あふれる地域の魅力と、利便性の高いデジタルサービスが融合した、魅力あるまちづくり~https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0001.html

導入のきっかけや背景を教えてください

三重県多気町に大型商業リゾート施設「VISON」ができたことをきっかけに2019年からスーパーシティ構想を始めることになりました。当初は多気町だけで取り組もうと考えていましたが、内閣府からのアドバイスがあり、周辺自治体の大台町、明和町、度会町、大紀町、紀北町と一緒に取り組んでいくことになりました。結果、スーパーシティ構想ではなくデジタル田園都市国家構想に切り替えていきました。特徴としては、広域連携で取り組んでいることと、観光リゾート施設であるVISONを拠点にさまざまな取り組みを行っているということです。

なぜ今回の取り組みのきっかけが商業施設だったのかといいますと、VISONでは最新のテクノロジーを活用した取り組みを進めようとしています。すでに自動運転を行うための専用道路が設置されています。他にもホテルに荷物を運ぶためにドローンを活用する構想であったり、顔認証決済の導入を検討していたりとVISON自身が最新のデジタル技術を活用したいという意向があります。またVISONは私有地ですので、その中で実証実験がしやすく、そこで実証実験や商業実装をして得られた成果やデータを連携している周辺の自治体に還元していくというモデルを作っています。

地域課題の解決のために今回のプロジェクトが担う役割を教えてください

どの町も人口減少や公共交通の問題、エネルギーの問題など課題がありますが、一番の課題は人口減少でした。少子高齢化以外にも働く場や住まい等の生活環境が十分に整っておらず、進学や就職をきっかけに若い世代が流出していることも原因の一つでした。また、観光客も伊勢志摩地域からの本地域への周遊率も低く、これを解決するためにデジタルという手段を活用して人を呼び込もうと考えました。

現在は、地域向け、観光向けそれぞれのポータルサイトやデジタル地域通貨を整備しています。令和4年度からデジタル田園都市国家構想交付金のタイプ2に採択され、デジタル地域通貨を始めました。地域としては新たなデジタルサービスをどんどん作っていって、住民や観光客のみなさんの利便性が向上されていくことを期待しています。今後、人口減少などの課題に対して広域で観光施策を充実させて、そこで関係人口や交流人口を構築していく仕組みをデジタルを活用して作っていきたいと考えています。多気町を含む、連携している自治体のエリアを「美村(びそん)」と名づけて、エリアをブランディング化していこうとしています。そのために「美村パスポート」というアプリケーションを開発し、マイナンバーカードと連携させて、美村エリアを観光周遊することでお得なサービスを提供できるような仕組みの構築を計画しています。

 

地域ポータルサイト「美村」
https://portal.mie-vison.org/

広域観光ポータルサイト「美村Travel」
https://vison.mie-vison.org/

自治体同士が連携できる組織設計とコミュニケーション

各自治体との連携や役場内での連携で課題となったこと、気をつけたことを教えてください。

各自治体の共通の課題は「人口減少」、強みは「観光」でした。その強みを活かし「観光でこの地域に人を呼び込もう」ということで各自治体の合意が取れましたので、観光に力を入れて取り組んでいます。共通の課題解決に向けて、共通の強みを活かし、地域経済の活性化を進めるという方向性を同じくすることで、広域での連携が取れていると思います。

観光で人を呼び込むことで新たなサービスや仕事が生まれてきます。それにより移住・定住者が増えて人口減少対策の一つになると考えています。また、それぞれの自治体とはアナログなコミュニケーションを取ることも大切にしており、実際に顔と顔を合わせて話をする時間を持つようにしています。

役場組織内の連携について、多気町役場の場合では、観光を担当している部署とデジタルを担当している部署が一緒に企業と行っている分科会に参加して、常に情報共有ができる体制をつくり、横の繋がりが取れるようにしています。とはいえ、各課ごとに温度差があったり、部署間で意見が食い違う時もあり、そういった時はトップダウンのリーダーシップが必要な時もあります。多気町は、町長や副町長もデジ田事業に積極的です。特に副町長は以前、役場でスーパーシティ構想の担当をしていましたので、こういった分野には積極的な方です。そのリーダーシップがあるので事業が進んでいます。

将来の展望やシステムの活用を教えてください

観光はもちろんですが、ヘルスケアの分野にも力を入れたいと思っています。各自治体も関心が高く、住民のヘルスケアが向上するようなデジタルサービスを計画しています。医療MaaSも含めてヘルスケアに関連しているデジタルサービスを今後行っていきます。特に予防・未病対策に力を入れて健康な人を増やしていきたいです。関係人口を増やす部分に関しては、デジタル田園都市国家構想の取り組みと関連させながらふるさと納税も強化していきたいです。美村エリアのファンづくりがこれから重要で、さらに力を入れていきたいと思っています。

多気町について

人口:13,873人(2023年6月時点)
面積:103.1 km²
多気町は、三重県のほぼ中央、松阪市と伊勢市の中間に位置しており、買い物や病院、働く場所など生活の利便性も良い自然豊かなまちです。名古屋や大阪といった大都市圏へのアクセスも良好です。
古くから農業が盛んなところで、伊勢芋や柿、お茶、松阪牛など多くの特産品も生産されています。その特産品を活かした松阪牛の肥育農家直営レストランや伊勢芋料理専門店、全国2位にライクインした農村レストラン、高い評価を得ている高校生が運営する「高校生レストラン まごの店」など特色のあるお店も多くあります。

多気町WEBサイト
https://www.town.taki.mie.jp/

参考URL

三重県広域連携スーパーシティ構想
https://www.chisou.go.jp/tiiki/kokusentoc/supercity/hearing/SC25_220329_shiryou_1.pdf

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