自治体DX白書編集委員会は、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局が主催した、令和4年度夏のDigi田甲子園で実装部門(町・村)ベスト4を受賞した取り組みを、小山町役場 企画政策課 岩田光司さまにインタビューをさせていただきました!予約・乗車システムを活用したデマンドバスによる地域生活圏のモビリティの充実とは?
デジ田メニューブック「予約・乗車システムを活用したデマンドバスによる地域生活圏のモビリティの充実」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0075.html
公共交通の課題、満足度上昇につながった背景とは?
−予約・乗車システムを活用したデマンドバスによる地域生活圏のモビリティの充実について教えてください
予約・乗車システムを活用した専用アプリ、もしくは電話で簡単に予約・乗車できるデマンドバスの運行により、地域公共交通の利便性向上および地域活性化を目指す取り組みです。
−導入のきっかけや背景を教えてください
平成26年10月から定時定路線型のコミュニティバスを導入しましたが、往々にして利用者の少ない運行が生じるようになっていました。そこで、住民に聴き取り等を行い公共交通の地域ニーズを再整理し、令和2年4月から従来の定時運行路線を一部残しながら、隣接市のスーパーを含む域内約200か所の新設バス停区間を利用者の要望に応じて自在に運行するデマンドバスを導入しました。また、運行エリアを町内全域とすることに加え、利用者アンケート等を踏まえ、近隣市の病院や大型商業施設等まで拡大し、令和4年3月現在では約300か所となっています。車両は運転士を含む14人乗りのワゴン車3台で運行しています。
−デマンドバスは地域にとってどのような役割を担っていますか?
朝夕は学生の利用が多く、時間や目的地が決まっているのに対して、日中は高齢者の利用が多く時間や目的地が様々であったことから、朝夕は学校の通学・部活動終了時刻に合わせた定時運行とし、日中はデマンドバスとしました。
運行のムダを省くため、利用者が選択する乗降ポイント及び乗車人数のデータから、システム独自のアルゴリズムで最適な運行ルートをドライバーに即時通知するツールを導入しました。利便性向上のため、24時間オンライン予約できるアプリの運用のみならず、デジタルデバイト対策として、日中の電話予約を受け付けるコールセンターも設置しています。
−地域住民に活用していただくためにどのような工夫をしましたか?
広く住民の生活圏をカバーするため、町内の学校やシニアクラブなどを通じ、延べ400人以上からの意見を集約し、反映させました。バス停の設置については、公共施設や病院、スーパー、駅、商業施設、福祉施設といった利用目的が多いと予想される拠点に設置した上で、域内に100メートルメッシュをかけ、住宅地から概ね100~200メートルに1か所のバス停があるように設置しました。また、町民の生活圏である隣接市の学校・病院等にバス停を設置することで利便性向上を図りました。なお、適宜、乗降データやアンケート、利用要望を踏まえ、バス停を増設及び移設しています。
利用者からは「使ってみると思ったより便利だ」という声が多く寄せられており、乗車の30分前まで予約可能で、町内は300円で色々なところへ行けます。
デマンドバスはキャッシュレス決済も可能で、車内でWi-Fiが使えるという点も好評です。新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場や選挙会場への移動手段として、無料で利用できたり、免許返納時には回数券を配布したりしています。導入前の公共交通への満足度は19%だったのに対し、令和3年度には40%にまで上昇し、定量的にも効果が目に見えました。
−今後はどのような発展や将来性を望んでいますか?
移動サービス提供の連携体制を拡充し、人流等各種データを活用した地域内MaaS、多方面で活躍できる持続可能な公共交通を目指していきたいです。
また、利用者増に伴うデマンド車両の増加はもとより、移動型の行政サービス等の提供が可能なマルチタスク車両導入を検討し、モビリティネットワークを活かしたスマートシティの実現をしていきたいと思います。引き続き地域住民の暮らし全体の利便性向上に寄与したいと思っています。
参考URL
小山町デマンドバス
https://www.fuji-oyama.jp/xWxwJUZ6_202002282127285.html
小山町について
人口:17,308人(2023年6月時点)
面積:135.74 km²
小山町は、静岡県の最北東、富士山の裾野に位置し、都心から近いながらも豊かな自然に囲まれた町です。
豊富な湧水があり、水稲、水掛け菜、わさびなどの栽培が盛んです。
日本さくら名所百選に選ばれた「富士霊園の桜」や日本最大のレーシングコース「富士スピードウェイ」などもあり、例年多くの観光客が訪れています。
また、金太郎生誕の地としても知られ、町内には金太郎ゆかりの史跡が点在しています。
小山町WEBサイト
http://www.fuji-oyama.jp/