地域の人を活かし地域内の経済循環率向上|沖縄県離島テレワーカー育成補助事業

沖縄県は、石垣市、久米島町、渡嘉敷村でのテレワーカー育成と業務斡旋、及びそれらに係るマネジメント事業を推進しています。
それらを推進する「island Connect Okinawa」は株式会社ブルー・オーシャン沖縄と株式会社MAIAから組織されています。
今回は「island Connect Okinawa」の取り組みについて紹介します。

PCやインターネットを活用したテレワーク人材の教育と雇用を生み出す

ー 「island Connect Okinawa」について教えて下さい。

離島は観光や農業など外貨を得る手段が限られていることに加え、企業の誘致が難しいという課題があります。弊社は地域創生をICTで支え続けるコンサルティングファームとして、沖縄県の経済振興を進めるために、PCやインターネットを活用したテレワーク人材の教育と雇用創出に注目していました。

2018年度に行った、在宅でコールセンター業務を行う竹富町でのテレワーク調査事業(実証実験)が評価されたことがきっかけとなり、2019年より沖縄県の地域・離島課との取り組み「island Connect Okinawa」を始動しました。3年事業の初年度として石垣島、久米島、渡嘉敷島の3島でテレワーカー教育を実施しました。
先行して開始したWEBライティング人材は100名程の規模になっており、学んでいる6割が女性です。一次や観光業など、閑散期が発生する仕事に従事している方が多いので、閑散期の収益源を確保したいという方も多いですね。企業への派遣を前提とせず、育成から始めているところがうまくいっている要因だと思います。

 

専門性が高く成長分野で単価も高いスキルとしてRPAが最適だと感じた

ー なぜ数ある企業からMAIAと取り組むことを決めたのでしょうか?

テレワーカーが習得するスキルとして、単価が安いが習得にストレスがかからないスキルと、専門性が高く成長分野で単価も高いスキルの2軸が大事だと考えています。後者のスキルとして動画編集やWEBデザインも検討していましたが、センスに依存するため質の担保が難しく、企業に派遣するには時間がかかると感じていました。
そんな中、RPA(※1)の存在を知りました。ロジック通りに組めば理系でも文系でも誰でも習得出来るという点でRPAを採用しました。MAIAはRPA人材の育成と業務の斡旋に関わる実績はもちろんですが、MAIAと取り組むことで、離島の事例を全国に展開できる可能性を感じたのも取り組み開始の決め手となりました。

※1 RPAとは
ロボティックプロセスオートメーションのこと。これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業を、AIや機械学習などの認知技術を活用して代行・代替する取り組み。

テレワーカーと企業の間に入ることでBPOの質が担保できる

ー 現在の取り組みについて教えて下さい。

石垣島、久米島、渡嘉敷島の3島の方々に対してRPA教育コンテンツを提供しています。多数の応募がありましたが、学ぶ意欲の高い方を選抜しました。テレワーカーが一同に介するイベントも企画しています。
仕事の依頼側(クライアント)を集めるため、BPO(※2)やRPAを活用した労働生産性の向上をテーマに企業へのセミナーも開始しています。各社の課題感は大きく、既に複数社とプロジェクトが始まっています。個人事業主であるテレワーカーと企業の間に弊社が入ることでBPOの質を担保できることが強みになっていますね。

※2 BPOとは
企業活動における業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを一括して専門業者に外部委託すること。

 

沖縄の離島・本島全体の雇用を増やす

ー 取り組みの目標を教えて下さい。

まずは3島を本格的に実運用に乗せていきます。テレワーカーと企業をマッチングして、仕事・雇用を生み出します。また、宮古島を中心として他の離島にも対象を広げていく予定です。沖縄の離島・本島全体にも範囲を拡大し、多くの地域で多数の雇用が生まれている状態を目指しています。

日本全国に取り組みを広げていきたい

テレワーカー事業を一つの島単独で実施すると、人口が少ないため続けること自体が厳しい現状があります。「island Connect Okinawa」は島を繋げて一つの面として捉えるため、仮想上で様々な活動ができるようになります。この事例を日本全国に広げて、都道府県レベルで離島の底上げをしていきたいです。

ー どんな自治体に勧めたいですか?
離島を沢山抱える自治体には勧めていきたいです。本取り組みは地域の人のリソースを活かし、地域内の経済循環率を向上させることができます。離島に新しい産業基盤を作ることに興味がある自治体に伝えていきたいです。

編集者あとがき

テレワーカー育成の対象者を選抜するほどの応募があり、その需要の高さを実感しました。
沖縄といえば一次産業や観光業というイメージを持っていましたが、ITの力で離島の経済振興やシングルマザーの雇用創出をするなど、産業の多様化が着実に進んでいます。
island Connect Okinawaは離島を中心に活動していますが、全国の小規模自治体の方も参考になるのではないでしょうか?
island Connect Okinawa(株式会社ブルーオーション沖縄内)

また、株式会社MAIAでは自治体のDX、女性の雇用創出や地域企業の生産性向上の取り組みを進めており、本サイトにノウハウや事例等の情報も提供しています。
随時ご相談や問合せも受け付けております。
株式会社MAIA
https://www.maia.co.jp/