自治体DX白書.comでは、自治体やDX担当職員にとって役立つ情報や基礎知識を、編集委員長(菅原直敏)の経験からまとめて紹介していきます。
デジタル技術は手段であって目的ではない
私が最も大事にしていることは「デジタル技術は手段であって目的ではない」ということです。
自治体DXは、デジタル技術のお話をするようで、実は私たちの幸せを前提に進めていきます。
デジタルやテクノロジーという言葉があると、それらが起点となる話しと捉えがちですが、起点となるのは住民です。
都道府県であれば都道府県民、市町村であれば市町村民のみなさんを起点にしたお話に置き換えていただきたいです。
自治体は何のためにある?
では、ここで考えてみてください。
自治体、地方公共団体とは、一体何の為にあるんでしょうか?
ここが大事なポイントだと思います。
ぜひ、一度原点に戻って考えてみてください。
日本には、1,741の自治体があります。
自治体では総合計画を策定して、その中で基本理念というものが謳われています。
1,741もの自治体があれば、言葉の表現は違えど、本質的に言っていることは同じです。
どういうことか、それは住民の幸せのためだということです。これが自治体の哲学やビジョンだと思います。
人口減少と第四の手段
今までは、主にヒト・モノ・カネという3つの手段やリソースを特に使いながら、実現をしてきたかと思います。
ただ、平成に入ってきた頃に人口減少という大きな課題が出てきました。
ヒト・モノ・カネは人口と比例しますので、人口が減っていけば、当然お金も一緒に縮小していきます。
一方で、住民にとっての課題であったり、自治体がつくり出したい価値は増えているわけです。
特に市町村の職員のみなさんであれば、課題解決や価値想像の最前線にいらっしゃるので、住民が抱えている課題が多様化してと感じている方も多いのではないでしょうか?
つまり、課題解決に割くことができる工数は減ってるにも関わらず、解決すべき課題の数や生み出さなければならない価値がどんどん大きくなっているかと思います。
このアンバランスに対して、自治体のみなさんは危機感持ってらっしゃると思います。
その時に、第四の手段としてデジタル技術が極めて有効な手段なのではないか、というのがDXの”D”の部分のご提案です。
本質的なDXのため
DXとは、デジタル技術だけを使って何かをするのではなく、ヒト+モノ+カネ+デジタルという組み合わせで自治体の哲学やビジョンを実現していくという考え方です。
ですので、デジタル技術を多く使った方が良い場合もあるし、逆に全く使わない方が良い場合もあります。
それは、住民の幸せのための手段として、何が適切なのかという視点に立つからです。
DXに関する業務にあたっていると、それは目的なのか手段なのか、迷ってしまうことがあります。
「デジタル技術は手段であって目的ではない」という、住民起点に立つことで、本質的なDXが進めていけるかと思います。