【#ホンネのDX】身近な地域の盛り上がりが幸せ|武蔵大学教授 庄司昌彦さん(3)

#ホンネのDX 3回連続でお届けする武蔵大学教授、庄司昌彦さんとの対談。1回目、2回目では、地域のことは地域で課題解決する「自分たちでやっていく」社会や、自治体デジタル改革の取り組みについてお話しいただきました。

最終回では、ローカルスポーツや、自分で工夫をしていく幸せについて語り合います。

地域に根差すサッカーがおもしろい

菅原:国の検討会の座長としてデジタル改革を進める上でのご苦労などを伺ってきたましたが、時間が迫ってきたので最後のテーマ「幸せとは」ということをお聞きしたいと思います。

なぜ最後にこの質問をするかというと、僕が今少し危惧しているのは、今、デジタルというとソリューションやシステムの方にだけ目が向きつつあるように思うんです。でも本当はその先に目的があって、その目的というのは究極的には私たちの幸せですよね。庄司さんの幸せなとき、幸せな瞬間というのは、どういったときですか?

庄司教授:そうですね、ツイッターの自己紹介にも書いていますが、僕は埼玉育ちなので浦和レッズが好きなんです。サッカーもすごくローカルの文化を大事にしているというか、地域性が非常に出ていてそこがおもしろいんですよね。

菅原:そうですね。

庄司教授:サッカーに関するローカル番組もすごくおもしろいし、いろいろな地元企業がサポートしていたり、ローカルなユーチューバーが応援していたりして、サッカーには自分たちの地域を自分たちらしく、自分たちの手でつくっていこうというローカリティが表れているように思うんです。もちろん試合がおもしろいから応援しているというのもあります。サッカーのことを考えたり、サッカーに関する情報に触れていたりするときというのは、すごく自分が幸せですね。

工夫して自分らしくやっていく幸せ

庄司教授:もうひとつはケチャップアートです。自分で作ることが好きだと先ほど申し上げましたけれど、今日は何を描こうかなとか、一筆書きみたいなものなので一気に描くにはどうすればいいかなとじっくり考えて描いたり、工夫したりということが好きなんですよね。そういう試行錯誤をしているときって、実は楽しいな、幸せだなって思うんです。

無理矢理にDXにつなげると、他のところの真似ではなくて、自分で自分たちのことを考えているときというのが大事なんじゃないかなと思います。工夫して、失敗することも多々あるわけですけど、でも「次はどうしようかな」と、自分で考えて工夫して自分たちらしくやっていくのが大事だし、そういうのをやっているときが幸せだなと思います。

菅原:そうですね。今日のポイントは、それを自分でできる人とできない人に分かれるということですね。地域も同じで、自分ではできない地域や人に対しては、上から強制するよりも、エンパワーして、自分たちで考えていける、自分たちらしくやっていけるような状態を作っていく。そういった視点というのがDXにおいても必要なのかなと思います。

庄司教授:そうですよね。スーパー補佐官を連れてくるのも大事かもしれませんけれど、みんなが少しずつExcelの使い方を学ぶ、Zoomで会議ができるようにするといった底上げが大事ですよね。

菅原:まったく同じ考えです。

庄司教授:難しく考えて、すごい人、スペシャルな人を呼んでこようとしてもいいんですけども、それと同時にみんながちょっとずつ勉強するとか、みんながちょっとずつがんばって一歩進めるみたいなこともできたらいいですね。

菅原:ありがとうございます。今日は自分がやってきたことについても自信になりました。エンパワーメントですね。今日は本当にお忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございました。

庄司教授:ありがとうございました。

対談を終えて

中央からの視点だけではなく、地域に根差した文化を尊重して、自分たちのことは自分たちでできる社会をつくる。

その過程でさまざまなステークホルダーの間を調整して、1,700もの稼働中のシステムを標準化、共同化するのは、並大抵のプロジェクトではありません。それでも「今やらなければ」という強い思いで取り組まれていることが伝わってくる、庄司さんとの対談でした。

#ホンネのDX これからも、あらゆる地域・あらゆる人たちのホンネとトランスフォーメーションを紐解いていきます。

武蔵大学
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