#ホンネのDX 3回連続でお届けするNPO法人Social Change Agency代表理事 横山北斗さんとの対談。1回目、2回目では、生活の動線に支援を網の目のように張り巡らせていくことや、ソーシャルワーカーとしての取り組みについてお話しいただきました。
最終回では、将来の社会に期待を持ち続けられる幸せや、公のセーフティーネットへの思いについて語り合います。
将来に期待を持ち続けられる社会
菅原:前回、情報のアウトリーチなどにデジタル技術を活用する話をしましたが、デジタル技術も基本的には何かを実現するための手段でしかないと思うんですね。何のために何を実現するかを考えたとき、10人いたら10とおりの自分らしさがあるし、10とおりの幸せがあると思いますが、横山さんの幸せって何でしょうか。急に抽象度が高くなってしまいますが、お伺いできたらと思います。
横山代表理事:私にとっては自分や他者や社会に対しての期待を持ち続けることができる、その状態というのが幸せかなと思います。
菅原:期待を持ち続けるというのは、社会に対しても、自分自身に対しても、ということですね。
横山代表理事:そうですね。社会にも、身の回りの他者にも。見知らぬ他者に対してもそうでしょうし、自分に対しても、ですね。
もう少し本質的に考えてみると、期待を持てるということは、他者や社会に対して「こうなったらいいな」という理想があるからこそ、そこに対して期待を持てるということだと思うんですよね。先ほどお伝えした、自分も含めた他者や社会に対して期待をする、期待を持ち続けて、その状態をずっと更新し続けられるということは、つまり社会に対して理想を持っていることでしょうし。その状態を幸せと言うことができるのかな思います。
菅原:わかります。僕はそれを「希望」と呼びますが、今日よりも明日のほうが希望が持てると思えれば、楽しいじゃないですか。経済が右肩上がりだった昔の時代は、今よりも明日のほうが給料が上がるとか、明日は車が買えているとか、わかりやすい指標で可視化されていたと思うんです。でも、今は物質的な意味ではもう成熟してしまっているので、一律ではありません。むしろ長生きすればしただけたいへんだとか、将来に期待や希望が持てないという状態になってしまっている。これは、まさに社会と社会制度の話だったり、支えてくれる他者であったり、自活していく自分自身にも言えることで、将来を期待が持てる形にしていきたいですね。将来の期待をつくるのはマクロで言うと国の制度や法律、ミクロ的に言うと、横山さんのようなソーシャルワーカーの動きであったり、個別のソリューションの技術であったりするんですよね。その組み合わせかなと、聞いていて思いました。
公のセーフティーネットで社会の信頼を満たす
菅原:DXという言葉が独り歩きしていますけれど、何を目指すのかと改めて考えたとき、特に自治体のDXという部分では、自治体にしかできないセーフティーネットの構築がありますよね。
横山代表理事:公のセーフティーネットがちゃんと駆動する社会というのは、人が社会に対する信頼を持てている社会だと思うんですよね。社会保障制度もその一つですが、公の制度を必要な人が適切なタイミングで利活用できることが、人々の社会に対する信頼を社会の中に満たしていくことにつながるのではないでしょうか。少し抽象的なイメージではありますが、そのようなことを考えています。自分も引き続き、課題に対して関心を強くもって、解決のために何かをやりたいと思います。公がきちんと機能することが社会の信頼を満たすことにつながるのではないかという思いが自分の中にあることを、今日、改めて感じました。ありがとうございます。
菅原:こちらこそです。視聴者の方にもソーシャルワーク的な視点からのお話でDXを考えていただけたらというお願いをこめて、改めて今日のゲストは横山北斗さんでした。本当に今日はどうもありがとうございました。
横山代表理事:どうもありがとうございました。
対談を終えて
困っている人の近くで支えとなるソーシャルワーカー。
支援が本当に必要な人たちが支援につながりにくいという今の課題に取り組むだけでなく、社会や自分自身に対して期待を持ち続けながら、未来を見据えるまなざしを感じます。
社会を底支えするセーフティーネットを、DXの力も借りて機能させていく。それが、社会に信頼を満たしていくことにつながるという横山さんの言葉が印象的でした。
#ホンネのDX これからも、あらゆる地域・あらゆる人たちのホンネとトランスフォーメーションを紐解いていきます。
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あなたはひとりじゃない|内閣官房孤独・孤立対策担当室
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