【#ホンネのDX】必要な人に情報が届く社会づくり|NPO法人Social Change Agency代表理事 横山北斗さん(1)

#ホンネのDX 今回はNPO法人Social Change Agency代表理事 横山北斗さんとの対談です。

横山さんは東京都文京区でソーシャルワーカーとしての活動をしている方で、「ポスト申請主義を考える会」という任意団体の代表でもあります。

また、内閣官房の検討委員会の委員を務めるなど、国政の場での活躍をされている方でもあります。

そんな横山さんに、ソーシャルワーカーとしての活動に至った経緯や、ソーシャルワーク、ソーシャルアクションを通じて叶えたい未来についてホンネを伺いました。

 

 

ソーシャルワークを広く多面的に展開

菅原:横山さんにはとてもシンパシーを感じます。横山さんは国家資格としての社会福祉士を持つソーシャルワーカーですが、資格を持っているだけではなくて、もっと大きい意味でのソーシャルワークというところでいろいろな活動をされています。中でも、NPO法人Social Change Agency代表として「誰ひとり、排除しない社会をつくる」というビジョンと「社会のさまざまな人、組織、システムと共に社会の包摂範囲を拡げる」という将来像を描いて取り組みをされています。

日本では「福祉」という言葉でくくられがちですが、私や横山さんの考えるソーシャルワークというのはもう少し広いものです。そういった取り組みの中からスピンオフで生まれてきた任意団体、「ポスト申請主義を考える会」の代表も務めておられます。
ポスト申請主義というのはとても斬新な視点だと思います。日本の行政の手続きは基本的に申請をしてサービスや社会保障を受け取るというパターンなのですが、逆に言うと申請をしなければ何も受け取れないという福祉的な課題があるのではないかということで、後ほどまた深くお話を伺っていきます。
また、自治体の関係では、東京都文京区の地域福祉活動計画の委員を務めた経験がおありで、今は内閣官房 孤独・孤立対策担当室 孤独・孤立対策ホームページ企画委員会の委員など、政府の関係でもさまざまな取り組みをされています。私自身もソーシャルワーカーですが、横山さんはソーシャルワーク、ソーシャル アクションといった活動を地で行く、日本では珍しい取り組みをされている方だと思います。横山さんから補足の自己紹介がありましたらお願いします。

横山代表理事:過分なご紹介をいただいて、ありがとうございます。特に不足はありません。

菅原:ありがとうございます。それでは今日もさっそく最初のテーマに入っていきたいと思います。

支援を網の目のように張り巡らせたい

菅原:まず、横山さんの思ってらっしゃる世界観についてお伺いしたいです。というのは、先ほどご紹介したように、社会にとって、あるいは社会的な包摂というところで、地域レベル、国レベル、その中間のレベルで、さまざまな取り組みをされていると思います。そこには強い思いというものがなければできないと思うんですね。横山さんの目指している社会や将来像みたいなものをお伺いできたらと思います。

横山代表理事:もっと社会の、生活導線の中で出会いやすい、タッチしやすいところにいろいろな支援を網の目のように張り巡らせていくのが必要なのではないかと考えています。私は、もともと起業を志して福祉の仕事についたわけではなく、大学卒業後は病院に勤めて、病気や怪我で社会的に困りごとがある人の相談にのる医療ソーシャルワーカーの仕事をしていました。当時、ネットカフェに寝泊まりしながら携帯電話で派遣労働の仕事を探す生活をされていた方が派遣労働の現場で体調が悪くなり、救急車で私が勤めている病院に運ばれてきたんです。

医療機関のソーシャルワーカーというのは、経済的な問題などで不安定な状態にある人たちが救急車で運ばれてくると、お金の問題や退院後の住まいの確保などのお手伝いをしたりするのですが、そういった関わりをしている中で、申請主義の問題点を痛感させられました。
どうして救急で運ばれて来るに至ったのか、患者さんたちの過去の話を聞いていく中で、社会保障制度からの排除されることによって、今、自分の目の前にこの方がいるのだろうな、と想像させられることがたくさんあったんですね。その当時私が痛感したのは、セーフティーネットとしての社会保障制度はあるけれど、それを知らなかったり、適切なタイミングで届いていなかったり、届いていても誤った理解によってそれを活用できていなかったり、そういったさまざまな理由で制度から排除されている方たちが一定数いるのだということでした。

病院にソーシャルワーカーがいることも非常に重要なことだと思うんですが、もっと社会の、生活導線の中で人々に出会いやすいところ、タッチしやすいところにいろいろな支援を網の目のように張り巡らせていくのが必要なのではないかということを考えるに至りました。
冒頭で菅原さんにも取り上げていただいた「社会の包摂範囲を拡げていく」ということ。そのために、たとえば保育園や学童保育にソーシャルワーカーを配置したり、コンビニエンスストアにソーシャルワーカーを巡回させたり、デジタル技術を使ったりするのも一つの方法だと思いますが、既存の福祉センターや行政の窓口ではない、人々の生活に近いところで包摂を網の目のようにしていくために、既存のもの、今あるものに機能をもたせることはできないかと考えて試行錯誤しています。

菅原:最初は医療ソーシャルワーカーとしてこの世界に入って、現場に入ると医療とつなぐという部分の外で支援から抜け落ちている人が多くいることに気付かれた、と。そこに対してどうアクセスしていくのかという問題意識から、NPOなどを作るという形で今の活動につながっていらっしゃるのですね。

デジタル技術も接点の一つ

菅原:今のお話で思ったのですが、日本の行政ってすごくいろいろな制度があるし、いろいろな組織もあって、確かに制度としては整っています。でも、それが本当の意味でセーフティーネットとして機能しているかという実質に目を向けたときに、やはり現場でいらっしゃる方々からするとそうではなかったりしますよね。

横山代表理事:そうですね。

菅原:なぜ全部が機能しきれないのかということに目を向けると、今困っている人たちに対する接点が「来てください」というセンター方式だけでは限界がある。極端な話としてはコンビニみたいな生活の動線で一番身近なところにもソーシャルワーカーがいたらいいんじゃないかということですね。そういったさまざまな接点の一つとして、デジタル技術なども要素として使えるというお話ですね。

横山代表理事:おっしゃるとおりです。

菅原:おもしろいですね。

次回は困っている人をDXで制度につなげることについて

横山北斗さんとの対談は次回に続きます。
次回は、横山さんのソーシャルワーカーとしての取り組みについて、具体的な内容や目指す姿を伺います。

 

NPO法人Social Change Agency
https://social-change-agency.com/

ポスト申請主義を考える会
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