【#ホンネのDX】生活の豊かさ、幸せにつながるスマートシティ|一般社団法人スマートシティ・インスティテュート理事 南雲岳彦さん(3)

スマートシティの実現により目指すものとは

#ホンネのDX  3回連続でお届けする一般社団法人スマートシティ・インスティテュート理事 南雲岳彦さんとの対談。
1回目、2回目では、スマートシティについての情報共有で南雲さんが目指すものや、日本の現状と課題についてお話しいただきました。

最終回では、スマートシティの実現によって得られる暮らしやすさや、南雲さんご自身の幸せについて語り合います。

生活に満足度が高く、暮らしやすいと思えること

菅原:これまで南雲さんが目指すものや、日本の現状と課題について伺ってきました。
最後にその日本のよさやアーキテクトも踏まえてなのですが、今、自治体関係者の人たちの中にはスマートシティについて何か違和感を持ってらっしゃる方が多いです。どうしてもスマートシティ、スーパーシティを産業のような文脈に乗せてごちゃ混ぜにしてしまうので、ともすると住民を実験台にしているのではないかと思われがちです。
そうではなくて、先ほど南雲さんが仰ったようなWellbeingや個人の幸せというものを実現するための手段としてのスマートシティがある、というところが大切なのかなと思っているのですが、南雲さんにとっての幸せって何ですか?

南雲理事:一番難しいポイントですね。
自分の生活に満足度が高い、暮らしやすいなこの生活、と思えるということと、自分の自己実現ができてるなということの二つのような気がします。

やはり家族がギスギスしていては絶対だめですね。家族みんなが幸せだと思ってなきゃいけないし、家族みんなが生活にいいなってどこかで思ってなきゃいけないっていうことだと思うんです。自分だけではなく家族があり、ご近所さんもあり。
僕の家ではご近所さんが作られる朝採れ野菜を貰うんですけど、カミさんがそれを使って料理を作ってお返しをしたり、そういう関係があって、それが転じてスマートシティの基層を流れていくという社会だと思うんです。
そのやり取りをする時にはLINEを使ってやっているわけです。何時に野菜を置いておきますとか、野菜でスープを作ったから何時にお届けしますとか、テクノロジーを使ってやっているわけです。
そういう生活感ある中にテクノロジーが溶け込んでいるというのが目指すべきスマートシティであり、住みたい暮らしやすさであり、その幸せにつながる道しるべだと僕は思うんです。

最先端の未来図ではなく普段の生活に還元されるもの

菅原:なるほど。スマートシティというと、僕も色んなところで戦略を作ったりするんですが、オーダーによってちょっと最先端の未来感のある写真とか使いたくなるんです。でも僕は逆かなと思っていて、普段の日常の風景は変わらずに、その後ろに水道管のように色んなテクノロジーが動いている、南雲さんのお話を伺っていてそっちのものに近い気がしました。

南雲理事:僕はそう思います。
スマートシティという言葉を世の中に広げるための絵柄としては、ドローンだとか無人運転だとかオンライン診療だとかそういうものが当然使われるんだろうけど、自分の生活の幸せのWellbeingとかリバビリティ(住みやすさ)とかをくっつけたときにはもうちょっと還元された、何か回収されたあとの世界になっていると思うんです。そこはこれから言葉が知れ渡った後の中で意味づけをする段階でみんなが段々浸透させていくところ、まさに今日本はそのフェーズに入っていると思うので、そういう理解でいくととっても身近なものになってくんじゃないかなと思いますね。

菅原:今日のお話はすごく自治体関係者の方には刺さったのではないかと思います。
多分みなさんどうしてもメカメカしいものとか、未来図を追っかけなきゃいけないと思ってやってる中で、これだけスマートシティに世界的な知見を持ってる方が、自分の中で考えたときに日常というところに落とし込まれてきた、これをどう意味づけしていくのか、これは多分自治体によって違うと思うんですけど、すごくそこに本質があるのかなと思いました。
今日は短い時間でしたが中身の濃いお話を伺えました。ありがとうございました。

対談を終えて

スマートシティ、という言葉だけを聞くと、どうしても最先端のテクノロジーばかりを連想してしまいます。

スマートシティの目的は何なのか、目指す世界はどういう世界なのか、南雲さんのお話を伺っていると、それは我々の生活を豊かにする、暮らしやすさ、幸せのための手段であるということが見えてきました。

それを実現するためにそれぞれの地域に合ったモデルをアーキテクトしていく、これが大切なのではないかと思います。

#ホンネのDX これからも、あらゆる地域・あらゆる人たちのホンネとトランスフォーメーションを紐解いていきます。

一般社団法人スマートシティ・インスティテュート
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