官と民、両方の視点で「共に創る」
#ホンネのDX 3回連続でお届けする一般社団法人官民共創未来コンソーシアム代表理事、小田理恵子さんとの対談。1回目では、働く人や子育てをする人が無理をせずに生きられる社会を作りたいと、活動の原点となった経験を語った小田さんでした。
今回は、そんな小田さんが行う官民共創の取り組みについて、具体的な内容を伺います。
課題も解決策も「共に創る」
菅原:前回、今の仕事の仕方などに、時代の変化に追いついていない根本的な問題があるのではないかというお話を伺いました。
こういった問題を解決する手段としての官民連携というのは今までもありましたが、小田さんが取り組まれている官民の共創というのは、どういったものでしょうか。まずは民間としての立場で、実践をされる上での苦労や失敗などはありますか?
小田代表理事:官民連携と言われ始めたのはここ10年くらいで、今、ホットな領域です。あえてそこで「共創」という名前の団体をなぜ立ち上げたかというと、やはり官と民というのは見ている世界が全然違うし、そもそも生態系が違うというところがあるんです。でも、今の官民連携というのはそういった官と民のそもそもの違いをあまり意識せずに、とにかくこういう課題がある、こういうソリューションがある、というだけでマッチングすることが多いです。しかし、実はまだ、課題とソリューションを組み合わせるだけでよい段階には来ていないのではないかと考えていて、あえて「共創」という名前を使っています。
菅原:課題もソリューションも一緒に作っていくものだ、と。
小田代表理事:はい、その地域にとって必要なことや、地域に価値を残すものは何かというところをきちんと議論していく。その際に、民間の力を借りるなら民間のWinも必要ですし、自治体や地域のWinも必要です。俯瞰で見て、お互いのリソースは何かというのを設計するフェーズがなければならないですが、なかなか一筋縄ではいきませんね。
課題解決は「官×民×テクノロジー」で
菅原:逆に、自治体の立場で関わることもありますか。
小田代表理事:はい、自治体側のアドバイザーをすることもあります。今は自治体で対応する社会課題は増える、人は減る、予算は減るという状況ですので、民間の力を借りていかなければいけません。しかし、たとえば課題が「電子化をしたいからオンラインの会議ツールを入れたい」などの具体的なものだったらいいのですが、そうではなく高齢者のデジタルデバイドを解消したい、防災の通知を広く伝えたいなどの大きなテーマのときに民間に声をかけても、来るのは自社製品の提案だけなんですよね。
菅原:そうなんですよね。企業は製品を販売していますから。
小田代表理事:でも、やりたいのは課題解決であって製品を入れることではないので、そこにワンアクション、ツーアクションを入れたり、場合によってはソリューションを組み合わせたり、足りないものを開発したりもしなければなりません。その部分での役割分担の意識がうまく合わないということをよく経験しています。
菅原:官と民の間を取り持って、両方の見方がわかる人材が必要ということですね。
小田代表理事:はい。また、やはりテクノロジーやソリューションに対してのある程度の知見はどうしても必要なので、「官×民×テクノロジー」かなという感じが今、しています。
菅原:よく誤解されるのですが、デジタルやITに対しても特別な知識は必要なくて、最低限の知識があればよいのですよね。ただ、官民共創をやろうと思ったら、当然チャットツールを使うし、オンライン会議ツールを使うし、クラウドのストレージを使う。そういったベースは必要ということですよね。
小田代表理事:そうですね。ですから、ITはよくわからないと言う人は、昔でいうと電話のかけ方がわからないとか、ファックスの送り方がわからないと言っているようなものだと思うんですよ。
菅原:わかりやすい! 確かにそうですよね。オンライン会議ができないというのは、電話が使えないと言ってるのと同じですよ、というのを今度使わせていただきます。それくらいの時代になっているということですね。
小田代表理事:それが基本で、そこから先をどうしましょうかという話に行かないといけないと思うし、世界的にはもう当たり前のことだと思います。でもいまだにハンコが……。このあたりで止めておきます(笑)
DXの先にある幸せとは
小田理恵子さんとの対談は次回が最終です。
次回はワークスタイルが変わる先にある幸せの形について、互いの考察を述べていきます。
一般社団法人官民共創未来コンソーシアム
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【#ホンネのDX】「幸せだね」と言い合える家族にある背景|官民共創未来コンソーシアム代表理事 小田理恵子さん(3)はこちら。