【#ホンネのDX】町長として女性として幸せを感じる瞬間は?|新潟県津南町長 桑原悠さん(3)

DX化よりも前にある、幸せのビジョンとは


菅原:最後のテーマですが、お話が大きくなってしまいますが「幸せ」のお話をしたいと思います。最近デジタル化やDXのような言葉が流行り言葉のようになっていますが、ただそこで僕が気になっているのは「手段」の話です。どうしても「技術」の話ばかりにフォーカスされてしまう部分はどうしてもあると思うんです。ただ津南町のお話を聞いていてすごいと思ったのは、自分達が取り組みたい何かがあって、そのための手段としてデジタル使っているとお話していらっしゃって、まさに僕はそれ(が理想的)だなぁと思っていて。究極、なんのため(のDX)だろう?と考えると、やっぱり幸せのためだなと思って。それぞれいろいろ(な想いが)あると思いますがざっくりと町長はどういうときが幸せですか?

もちろん町民のための、とか社会のための、ということではなく町長が個人的にどういうときが幸せなのかなぁと思って。

桑原町長:個人的にですか。個人的に、ほんとうに心から、町民のために「良い決定をした」「これはきっと上手く行くはずだ」という決定をしたときにゾクッとした幸せ感があります。その、真面目な話になりますが、目の前の住民福祉向上のために仕事をしているということが幸せです。ほんとうに、心から。

菅原:お子さんが2人いらっしゃるじゃないですか。お子さんとご一緒に(過ごす時間)とかではどうですか。

桑原町長:そうですね。やっぱり「仕事だけ」というのは無理です、私は。それに育児だけ、というのも無理ですね。だからどっちかじゃない、どっちにも場所があるというのが幸せです。

菅原:それは大切だと思う。特に女性とお話ししていると、日本では特にジェンダーギャップのお話ではないですが、どうしても「どちらかを選ばなきゃいけないよな」という風潮があるし、結果的にそうなってしまう人が意外と多いので。でも町長を見ているとそこを両立されてるじゃないですか。

桑原町長:はい、ほんとうに家族の理解があって。小さい子どもがいるのに、しかも女性なのに町長選挙に出るって(決まったときには)大変多くの言葉をいただいたんですけれど…

菅原:いや、そうですよね、やっぱり。

DXがもたらす仕事への価値観の変化

桑原町長:昔の政治家像みたいな、夜に料亭で決める、みたいな(イメージ)から脱却して、「昼間仕事すれば良いじゃん!」「昼間フットワークよく動けばいいじゃん」って。そうすれば夕方子どもに会えて一緒に寝れるじゃんという。そのような働き方をリアルにしています。コロナ禍で夜の会合もそんなにできないので今はとてもバランスよく仕事も育児もできていると思います、家事も。

菅原:わかります。価値観だと思っていて。民間企業でもそうだと思います。私は経営者をしていますが、自分が持っている事業部に関しては交際費は一切もう、無し。無しというのはつまり呑みに行かなきゃ(仕事を)取れない人というのが基本、僕は無能だと思っていて。それを感じたのは去年でした。それこそ去年はずっとコロナ禍でしたが人と会うことが難しかったのに売上が最高になったんですよ。この状況で達成できた、となったときに、今までも飲み会には疑問を持っていたわけですが、個人で呑みに行くのは良いんですがわざわざ仕事で呑みに行くのはだるいな、夜遅くまでつき合わされて(いやだな)と思っていたんですが、(売上を最高に)できたときに「これって必要なかったんだ」って(思いました)。さらにうちのチームは女性の方が多く半分近くが女性なので、これは昭和の一部の男性の価値観なのではないかと思っていて。だとしたらもうそういうのは無し。そういうのが無くてもやっていけるようにしたほうがいいんじゃないのって。

桑原町長:そうですよね。私もそれは賛同します。私も今日頃思っていますが、政治の世界にいる人間としては人と会った回数は大事で、夜は動けない分、昼はなるべく多くの人たちに会いたいし頑張って努力しているつもりではあります。やはりふれあいは大事ですよね。

菅原:ふれあいの仕方は変わるんじゃないですか。これからはこういうオンラインでのふれあいもふれあいと感じる人もいるでしょうし、VR、ARなども発達してくると家や町長室にいながらもっと多くの人とふれあえたりするでしょうし。

桑原町長:そうですね、私自身も、リアルの座談会もよくしますがオンライン上での座談会にできないかなと思っていて。LINEを使ったちょっとクローズドな会議にしようか、だとか気軽に行ける会にしようか、とか思ったりしています。やり方はこれから。

菅原:オンラインで済むところは全てオンラインで済ませ、本当にオフラインでなきゃいけないところだけをオフラインにしていきたいです。うちの磐梯町なんかはまさにそうで、地方の首長さんって、国への陳情や民間企業さんとお話をするときは基本上京されるじゃないですか。30分とか1時間の会合であれば(そのやりとりをオンラインにすれば)町にいながら、他の用の合間に(会合を)いれることができて、しかも移動時間もなくなりその分休める、とかいろいろやりようがあるなって。

桑原町長:そうですよね。もっと生活の質を上げることができますよね。移動時間が削減できれば。

菅原:あと、女性が若くして町長を(ということへのさまざまな反応は)やっぱりあると思うんですが、考えてみたらフィンランドでは総理大臣だったか大統領だったかは女性でしたし、しかも内閣も半数以上が女性で、しかもお子さんがいるような世代の人たちが多くて。これを見たときに、フィンランドでああやってできるんだから日本でもできる話ですよね。だから、あとは意識が追いつくかどうかだと思うので、そういった意味でもやはり(桑原町長は)日本を立て直す100人だなって。

桑原町長:ほんとうに自然体でやっているので…

菅原:本当にすごいと思いますよ、やっぱり前例を作るってすごいことだと思います。

桑原町長:(自分では)前例だとも思っていないんですが、自然体で苦しみながらやっています。簡単ではないので、やはり。

菅原:幸せのお話を聞いていると、町民に対する役場レベル(の幸せ)から、個人、自分のプライベートレベル(の幸せ)まで、このようななかでいろいろな技術が手段として果たす役割は結構あるなあとすごく感じたところでございます。もうそろそろ時間ですが、ぜひ津南町地域はカサブランカの生産が盛んな地域ですから、都内近郊の人は、青山のフラワーマーケットに行けば、大体の駅にいくつかありますので、買えますので。いまひょっとしたら

桑原町長:EC対応をこれからしようという話にはなっています。

菅原:ということなので、こちらはもうちょっとお待ちください。本当に今日はお忙しいなかお時間いただきましてありがとうございます。

桑原町長:ありがとうございました!