Digi田甲子園 受賞事例特集
自治体DX白書編集委員会は、内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局の主催による、令和4年度 “夏のDigi田甲子園” で実装部門(指定都市・中核市・施行時特例市等)内閣総理大臣賞・優勝となった「北九州市DX推進プラットフォーム創設、北九州市ロボット・DX推進センター開所等による市内中小企業のDX支援の加速化」について、北九州市産業経済局 地域経済振興部 次世代産業推進課ロボット・DX推進担当課長 大庭繁樹さまにインタビューをさせていただきました!
北九州市の取組みの全体概要
北九州市では、デジタル化・DXを進めたい市内企業とそれをサポートする企業による「北九州市DX推進プラットフォーム」が令和2年(2020年)12月に創設されました。
このプラットフォームを基盤として、地域企業のDXに向け、専門家による無料相談・現場派遣から人材育成、DX推進補助金による支援まで切れ目のない支援を実施しています。(人材育成では、中小企業経営層向けDX人材育成講座など、企業のマインドセットを強く促す取組みなどにより中小企業のDXを推進)
また、令和4年(2022年)4月には、「北九州市ロボット・DX推進センター」を設置。同センターとプラットフォームが連携することで、これまで以上に市内企業のDX推進の支援を加速させる体制を整えました。
デジ田メニューブック「福岡県北九州市」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0133.html
DXで労働生産性向上、新たな価値の創出へ
ー北九州市のDX推進に向けた取組みについて教えてください
北九州市が直面している問題の一つに、生産年齢人口の減少があります。このような状況下で、稼げる街、若者に選ばれる街、にしていくためには、企業の皆さんと協力して取り組んでいく必要があります。
具体的に言うと、北九州市の生産年齢人口は毎年約5,000人減少しています。また、市内の従事者数のうち80%が中小企業に勤務していますが、大企業と比べると中小企業の労働生産性は、製造業では半分以下であるというデータもあります。つまり、街を元気にするためには、中小企業が労働生産性を向上し、さらに新たな価値を創出していくことが不可欠であり、そのためにはデジタル技術の活用、DX推進が大変重要となってきます。
北九州市ではいちはやくこの取り組みをスタートし、2020年に「北九州市DX推進プラットフォーム」を開設。こちらはDXを推進したい市内ユーザー企業と、デジタル化やデータ活用等を提案できるサポート企業をつなぐ機能も持たせており、2022年度末では400社以上がこのプラットフォームに参加しています。
さらに2022年4月に「北九州市ロボット·DX推進センター」を開設しました。このセンターでは、ワンストップ相談窓口として、市内中小企業の生産性向上に関する相談を受け、実践に至るまで専門家が伴走支援する仕組みを構築しています。さらにDX推進補助金などによる支援も含めた、導入総合支援機能、デジタル技術やロボットなどに触れることのできる体験機能、現場リーダーや経営層に向けたセミナーなどの人材育成機能、地域企業、SIer、大学、金融機関等の集いの場を創出する集い・繋がりの場としての機能により、産官学金が一体となって、地域のDX推進·ロボット導入を強力に支援しています。
北九州市ロボット·DX推進センター
https://www.ksrp.or.jp/robo-dx/
ワンストップ相談窓口
https://ktq-robodx.jp/
北九州市DX推進プラットフォーム
https://ktq-dx-platform.my.site.com/DXmain/s/
北九州市DX推進プラットフォームイメージ
北九州市ロボット·DX推進センター
経営者層向けのビジネススクールを開催
―経営者層に向けたビジネススクールを開催しているそうですね?
北九州市ロボット・DX推進センターでは、経営者層向け、現場リーダー向けのスクールを実施していますが、経営者層向けスクールはとても特徴的な取組みです。
地域企業の人材育成は大変重要であり、なかでも経営者のマインドセットは企業の事業変革に向けたキモであると考えます。このスクールは「第4次産業革命エグゼクティブビジネススクール」と称し、経営者自身が自社と向き合い経営課題解決に取り組むことを目的としています。
これまで4年間で87人の方が受講しており、経営者が受講した次にはマネジメント層が受講するという企業も多くあります。講座では、DXによる事業変革のビジョンを描き、3~5年後に向けて計画を立て、着実に実行に移していける内容となっており、受講した企業からは満足度か高いという声をいただいています。また、経営者同士がワークショップに参加して主体的に意見交換や発表を行うことで、より深い学びや新たな気づきが得られているようです。
エグゼクティブビジネススクールの講座内容は、北九州工業高等専門学校(北九州高専)の先生が企画し、北九州市に拠点を置く早稲田大学大学院も共催により実施しています。講師は高専や早稲田大学の先生や、DXに取り組んでいる企業の方に務めていただいています。
北九州高専×北九州市 高専と行政の連携事例
https://gekkan-kosen.com/11797/
ビジネススクールの様子
将来の展望
―北九州市のDX推進における将来の展望をお聞かせください。
ひとえにDXといっても様々な段階がありますが、市内中小企業の半数以上が、DXによって効率化のみにとどまらず、事業変革まで進むことを目指して支援してまいりたいと思います。また、人材育成も大変重要であり、地元でデジタルスキルを持った人を育てること、そしてその人が活躍できる企業がたくさんこの街に生まれることを期待しています。
北九州市には、課題に果敢に向き合う市民力、理工系人材の輩出力といった底力があり、これらの力を引き出すことで、多くの企業がさらに魅力を増して、若者が夢や希望を持って働ける場の創出に繋げていきたいと考えています。
北九州市について
人口:925,002人(2022年4月時点)
面積:492km²
北九州市は、福岡県に位置する工業都市であり、日本でも有数の製鉄・重化学工業地帯として知られています。
日本の近代産業発展において重要な役割を果たし、製鉄、自動車、化学などの重化学工業を中心に発展し、現在でも国内外から多くの企業が進出しています。
玄界灘や筑豊平野などの自然も広がり、市内には博物館や美術館が多くあるなど、産業、自然、文化が共存するまちです。
北九州市WEBサイト
https://www.city.kitakyushu.lg.jp/
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