自治体DX白書.comでは、自治体やDX担当職員にとって役立つ情報や基礎知識を、
編集委員長(菅原直敏)の経験からまとめて紹介していきます。
まず、DXを定義する。
早速ですが、自治体の推進計画で「自治体DX」の定義が明確になされていないことが多くあります。
自治体ごとの目的や状況に合わせて柔軟に定義するのがよいかと思いますので、今回は私なりの定義でお話をさせていただきます。
DXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。
ここで、トランスとあるので”T”ではないか?と思う方もいらっしゃると思いますが、英語では”X”と略します。
カタカナでデジタルトランスフォーメーションと表記すると行政文書としては少し長いので、私がCDOを務める磐梯町ではデジタル変革という表現を使ってます。
そして、住民がデジタル技術も活用して、地域社会等を再デザインするプロセスと定義しています。
デジタル技術が手段、再デザインすることが目的となります。
大切なのは住民本位あるいは市民本位の行政で、地域社会等を再デザインするプロセスがデジタルだと、私はこういう解釈に落ち着いています。
誰のためのDXか
大切なことはこれも見たら一目瞭然です。
このオレンジ色の住民本位、市民本位あるいは県民本位、ここがすごく大切なんです。
例えば、ちょうど新型コロナウイルス感染症が拡大したときに、十万円の給付金を出そうという話になりました。
あの時、オンライン申請ができるという話しがありましたが、あのオンライン申請は住民にとって使い勝手が悪く、操作をする職員にとっても業務負担が大きくて、自治体の中にはそれを取りやめるという話まで出てきました。
システム化されているので、テクノロジーを使っているというところはあります。
ただ一方で、残念ながら住民本位ではなかったという例かと思います。これではデジタルトランスフォーメーションとは呼べません。
つまり、私たちがやっていきたいことは、あくまでも住民にとって何なのかということであって、それができなければ、どんなにデジタル技術を使ってもデジタルトランスフォーメーションできないということです。
DXと二文字で書きまが、dは小文字でXは大文字。
変革をしていくトランスフォーメーションのところが極めて重要です。
目的なきDXは不要である
では、何のために変わっていくのかというところですが、
それはみなさんの自治体のミッションのためではないでしょうか。
住民の幸せのため、このための根本的な変革をデジタル技術を手段としてやっていくことが必要だという、政策的な判断がなければいけません。
それがなければ無理にデジタルトランスフォーメーションする必要はありません。
まず、そのようなDXの前提があるかどうかディスカッションしてください。
その上で必要だと思うならば、住民の幸せのために変革をしたければ、その手段としてデジタル技術を使ってください。
なぜdが小文字かと言うと、デジタル技術はすでに一般化しているからです。
みなさんが想定するような、課題を解決したり価値を創造していくようなデジタル技術は、ほぼ全てあると思って間違いありません。
それはもはや選択するかどうかの問題です。
よって、大切なことはデジタル技術視点で考えるのではなく、目的思考で考えた上でのトランスフォーメーションになってきます。