自治体DX白書.comでは、自治体やDX担当職員にとって役立つ情報や基礎知識を、
編集委員長(菅原直敏)の経験からまとめて紹介していきます。
ここにつまずく!ICT化とDXの違い
私は多くの自治体関係者の方々とお話していて、DXを進める上で最初につまずくポイントに気づきました。
それがどういうところかというと、ICT化とDXの違いは何かということです。
今さら誰かに訊けないという方も少なくないのでは…
ICT化や高度情報化という言葉には馴染みがあるのではないでしょうか?
これらが行政用語になってから20年以上が経ちます。行政文書でも注釈を付けずに使われることがほとんどです。
もしかすると、DXという言葉は、ICTという言葉が流行り言葉になったものだと認識している方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「デジタルトランスフォーメーションの推進」という言葉は、閣議決定をするような文書でも使われています。
言葉に厳密な官僚の方々が、そのような文書に安易に流行り言葉を使うでしょうか?使いませんよね。
つまりICT化とDXは概念として違い、別の言葉であるということが大切です。
この違いについて、私なりの整理を表を用いてお話します。
ICT化
まずはICT化についてです。
ICT化:組織の効率化を主な目的として、業務を情報通信技術に代替すること
よって、目線は業務本位になります。
親和性があるのは、業務効率化、人員削減、コストカットなどです。
みなさんがテクノロジーやデジタル技術と聞いてまず思い浮かべるのはこちらではないでしょうか?
DX
ただ、DXは違います。
DX:住民サービスの向上を主な目的として、デジタル技術を用いて新しい価値を生み出したり、仕組みを変えること
よって、目線は住民本位です。
親和性があるのは、UI、UX、個別最適化などです。
あるいは、行政のDXであれば、職員のみなさん目線になりますね。職員本位であるというところがすごく大切になってきます。
ここで、親和性がある分野の言葉について補足すると、
UIは、使いやすいな、扱いやすいな、ということです。
UXは、また使ってみたいな、ということです。
※よく使うDX用語集 参照:https://dxhakusho.com/3236/
個別最適化については、多様化する十人十色の住民ニーズに答えていこうということです。
デジタル技術を活用することで、行政のやり方に住民が合わせる一律対応ではなく、個別に柔軟に対応していくことができます。
21世紀は住民に合わせていく時代
つまり21世紀は制度や行政が一人一人の住民に合わせていく時代になっていく必要があるのではないかと思っています。
今までは住民が制度や行政に合わせる時代でしたが変わる必要があります。
ICT化もDXもデジタル技術を使っているという点では共通するので、混乱してしまうことがあります。
目的から考えると、ICT化とDXは違いますので、どの視点で捉えるかが重要になります。
ここで誤解していただきたくないのは、ICT化が悪くてDXが優れているという関係ではありません。
基本的にはこれらは、自治体のような組織ではステップの関係にあるので、ICT化がある程度進んでいるからこそDXができるという関係にもあります。
よって、DXを進めていくと結果的にICT化や業務効率化につながっていきます。