自治体DX実務編⑤動画配信で広がる可能性
動画配信の活用
全ての職員が持つ必要はないですが、特定の分野の職員が持つと役に立つスキルセットがあります。今回は、その中でも有用なスキルセットの一つである動画配信についてお話しします。
近年は、広報の一環として動画配信をしている自治体が増えています。また、コロナ禍の影響で交流・関係人口を拡充するためのオンラインイベントにも動画配信は不可欠です。さらに、オンラインでの審議会を開催する際には、公開原則から動画配信することが必須です。
このように動画が活躍するシーンは日に日に増えています。録画からライブまで動画配信を内製化できることは、迅速な行政運営を行う上で、大きな強みとなります。
実務の視点:動画配信の一連の流れ
動画配信をする際に必要なスキルセットは、撮影、配信サービスの活用等があります。また、必要に応じて編集等ができるとさらに質が向上します。
これらの一連のスキルセットは、慣れればそれほど難しくないのですが、ある程度勝手がわかる人がいないと仕組み化できません。
そこで、まずはある程度動画配信のノウハウがわかっている人(職員の中にも探せば結構います)が配信のフローをつくって、必要とする組織の職員ができるようにマニュアル化してあげるとうまくいきます。
実際の事例:オンラインイベントと審議会を毎月開催(磐梯町)
磐梯町では、新型コロナウイルス感染症が拡大し、首都圏との往来が制限されたことに伴い、オンラインイベントを活発化しています。
また、完全オンラインの審議会を2つ設置し、ライブ配信を行っています。
さらに、これらの動画のリンクを埋め込んだQRコードを紙の広報に記載することで、スマートフォンを持っている町民が動画にアクセスできるようにする取り組みを行っています。
特に、毎月実施される2つの審議会のライブ配信はデジタル変革室の担当職員がフローに沿って対応し、審議会のライブ配信終了後すぐにアーカイブ化され、公開されます。
この取り組みを実現するために、地域おこし協力隊で動画配信に明るい職員が、一連の動画配信を実演し、フロー化した上で、他の職員が必要に応じて取り組めるようにしました。
磐梯町第8回官民共創複業テレワーク審議会の動画(毎回100名以上の視聴者がいる)
雑観:職員みんながYouTuber?
スマートフォンの普及と4Gの通信インフラの一般化がもたらした大きな変化は、誰もが気軽に動画を撮影し、配信できるようになったことでしょう。
10年以上前であれば、動画を配信するためには専門的なスキルを持った人が必要で、簡単なテロップを入れる等の編集であっても、外注して、大きな費用が必要でした。ましてやライブ配信等は想像もできませんでした。
この動画配信を既存の事業に上手く掛け合わせることができれば、費用対効果が高い取り組みを生み出すことが可能です。各課に動画配信をできる職員が当たり前にいる状態は目指してみる価値があります。